2014年9月30日火曜日

健康(2)– 体力が急減する年齢


健康(2)– 体力が急減する年齢



 単純に体力が急減する年齢は何歳だろうと思った。そこで100メートル走、200メートル走の世界記録を調べてみた。その結果を以下に示す。


 これをみると80歳まで、体力は少しづつ衰えるも急減するということはない。また、85歳から90歳、95歳、100歳に向けて体力の衰えは加速されるけど、一気にガクッと来るイメージではない。
100m走が100歳で30秒というのはすごすぎると言わざるをえない。

 フルマラソンの世界記録と年齢を次図で示す。さすが90歳以上のデータはない。80歳までは外装線上にあるということはすごいと言わざるをえない。

、ある年齢がくるとガクッとくるとよく耳にするけれども、これらのデータをみるとその年齢は80歳以上ということになる。 

 周りの人をみていると運動する人と運動しない人では、健康さが見るからに違う。ジョギングや水泳などは必ずしも安全とはいえないようであるが、これらのデータは、運動していれば80歳までは30歳台の衰えの延長線上にある、つまりあまり衰えないことを示していると思う。

 参考資料: World Masters Atheletics

 

2014年9月26日金曜日

健康(1)– 膝痛対策

健康(1)– 膝痛対策



 数年前、右膝が痛くなった。階段を上り下りするとき痛みが強くなる。そのうち階段の上り下りで右膝を曲げることができなくなった。医者にいくと、「骨と骨の間の軟骨がすり減っています。年のせいです。もう治りません。ヒアルロン酸を打ちましょう。」と言われた。ヒアルロン酸を打つのは最後の手段のような気がしたので、断った。

 そのうち、足の裏までが痛くなった。医者にいくと、足の模型を使って説明してくれた。よくわからない。どうやらどこかが緩んで「土踏まず」の部分が、土を踏んでいるらしい。

 歩くだけで、右膝も右の足裏も痛い。足の裏の痛さは膝の痛さより歩く気持ちを萎えさせる。もう治らないのかと落ち込んだ。ある時 ふっと 「ええい、こうなったら逆療法だ」と思った。

 それから、歩く量を増やした。痛いけど歩いた。膝の痛みより足の裏の痛みのほうがきつい。2~3ヶ月痛みは変わらなかった。そのあと、足の裏の痛みが少しずつ消え、膝もだんだん痛くなくなってきた。

 もう数年たつけれども右膝の痛みがわずかに残っているだけである。年齢のせいで直らない部分があるのだろう。でも無理をしてでも歩き続けてよかった。歩かないと寝たきりになる可能性が非常に高いと聞いた。

 最近、今まで全く痛みを感じたことがなかった左膝が痛い。 膝痛はこれからも繰り返し起きるだろう。膝痛で苦しんでいる人も多いと聞く。

 私が得た教訓は、

 膝は痛くとも歩き続けるしかない!

である。

2014年9月25日木曜日

気象気候あれこれ2 – コリオリの力


気象気候あれこれ2 – コリオリの力1
気象あれこれ1 - 増える異常気象

気象気候あれこれ2 – コリオリの力1


 回転している球体があり、その球体上で動いている物体には”コリオリの力”と呼ばれる力が働く。
 地球は自転している。この自転のため、地球上で動いているものに対して、コリオリの力が加わる。地球が回転している角速度をωとする。 質量 m の物質が 速度  で動いているとするとその物質に次図の式で表わされるコリオリの力 F が働く。


 このコリオリの力のため、北半球では左巻きの台風や竜巻が起き、南半球では右巻きの台風や竜巻がおきる。貿易風や偏西風もこのコリオリの力が影響する。

 海流には、表層流と深層流があるが、表層流は風に押し流されておきる。地球上の風や海流の流れを理解するうえでコリオリの力がどのように働くか知る必要がある。このコリオリの力は日々の気象にも影響を与える。更に、年間を平均して、その推移を問題とする気候変動にもコリオリの力は影響している。コリオリの力は気象予報士のお兄さんやお姉さんはにとって重要不可欠な知識でもある。

 天気図に示される風の向きは、地表に沿って流れる風を示している。次図で地表に沿って流れる風に働くコリオリの力を考える。まず角速度ベクトルωを地表に平行な成分と垂直な成分に分ける。地表に平行に走る風には、角速度ベクトルの垂直成分のみが有効に働く。


 次図で、低気圧に働くコリオリの力を考える。低気圧があった場合、風は低気圧の中心に向かって流れる。つまり、低気圧の中心に向かう力が働いている。この力とコリオリの力を足したもの(ベクトルの足し算)が実際に風に働く力である。

 角速度ωの垂直成分が、北半球では上空方向に向いているのに対し、南半球では地球の中心に向いている。このため、北半球では、低気圧の中心より右側に向けて力が働くのに対して、南半球では低気圧の中心より左側に向けて力が働く。このコリオリの力の向きが逆になることから北半球では台風や竜巻が左巻きになるのに対して南半球では右巻きになる。


 地表に平行に動く風に対して働くコリオリの力は、北極南極で最大となり、赤道直下ではゼロとなる。コリオリの力がゼロとなる赤道直下では台風や竜巻が起きない。

 台風や竜巻のみならず普通の低気圧に対しても風の流れは、北半球では左回りで、南半球では右回りになる。高気圧がある場合、風の流れは北半球では右回り、南半球では左回りとなる。


 上昇気流や下降気流に対しては、角速度ωの水平成分がコリオリの力を引き起こす。この水平成分は北半球も南半球も北側を向いている。




 このため上昇気流は北半球南半球ともに西側に寄り、下降気流は東側による。



上昇気流や下降気流に働くコリオリの力のため、台風が右巻きになったり、左巻きになったりするよう、なにかが起きるとか聞いたことがない。風が水平移動する距離に対して、風の上下する距離が少なく、そのために東西にずれる距離が少なく、特に問題とならないと考えられる。

 赤道直下では、水平に動く風に対してコリオリの力はゼロになる。コリオリの力がゼロになるため赤道直下で台風や竜巻がおきないと言ってもよさそうである。 しかし、何故かと云う問いに対する答えは簡単ではなさそうである。この問題は別途考えていきたい。

 次は、コリオリの力 起因の貿易風や偏西風について考えていきたい。

2014年9月20日土曜日

能力開発(7)記憶力を鍛えれば・・・

能力開発(6) 記憶力アップはボケ防止?
能力開発(5) 英語力3
能力開発(4) 英語力2
能力開発(3) 英語力1
能力開発(2) 繰り返す力
能力開発(1) はじめに

能力開発(7)記憶力を鍛えれば・・・


 随分前になるが、TVで記憶術をやっていた。タレントに記憶術を教え、記憶術の効果を測るという番組であった。
 今でいう お馬鹿キャラのさとう玉緒さんに歴代全首相名を、デヴィ夫人に全ピカチュウ名を憶えてもらうという設定であった。この設定おもしろいと思いませんか。二人に与えられた憶える時間は1時間、二人とも一二問間違えただけであった。

 このとき紹介された記憶術は、覚える名前を、自分が良く知っている、例えば、自分の部屋の中にあるものとか、いつも通る道にあるものとかと一対一に対応させて覚えていくというものであった。

 すいへりーべぼくのふね(H、He、Li、Be、B、C、N、O、F、Ne) 覚えにくい元素表も語呂合わせだと憶えられるから不思議である。
 吟唱も覚えるのに有効な手段であり、文字を持たない民族は吟唱で後世にいろんなことを伝承してきたと言われている。
 
 次もTVの話であるが、芸人さんたちが受験で記憶しなければならないことをどのようにして憶えたかを披露しあっていた。語呂合わせだけではない、へぇ~いろいろ考えていたんだと感心させられた。いまでも商売上彼らにとって記憶力は重要である。

 人間の器官は、再生できないと誰でもが思っている。手や足をなくせば、はえてこない。しかし、二つだけ再生されるとのこと。一つは匂いの神経細胞であり、もうひとつは脳で記憶をつかさどる海馬とのことである。

 前回述べた、マジシャン、俳優、芸能人にとどまらず、実際実に多くの人が、記憶力をベースに仕事をしている。記憶力はその人の人生を左右するひとつの要因になっている。田中角栄元首相は、頭の中にたたきこんだ数々の数字を武器に持論を展開し、優秀な官僚たちを感服させ、官僚との関係も良好であったという。記憶力は鍛える価値ありである。

 コンピュータは数値だけを記憶するのに対して、人間には様々な記憶能力があるという。言語に関する記憶、画像の記憶、嗅覚の記憶、味覚の記憶などなど多岐にわたる。短期記憶に、長期記憶に、未来記憶(今後することの記憶)などというのもあるとか。上手に忘れるのも人間の記憶力の重要な要素である。うらむつらみは意識して忘れよう。

 記憶力アップは、繰り返しだけでなく工夫も必要となる。どんな工夫で、どんな領域で、どのようタイプの記憶力を鍛えるか、人それぞれであろう。仕事上、必然的にまた日常的に記憶力向上を行っている人も多いが、意識して記憶力を鍛えれば、人生はさらに変わる。私のように定年を過ぎた人には、記憶力を鍛えることは、人生の長さにも影響を与える。意識していろんな分野でたくさんのことを憶えれば人生は楽しくなる!

 私は家族があきれるほど何事も憶えていない。たしかに自分は記憶するということにほとんど意識を払ってこなかった。いままで見聞きしたことや勉強してきたことの多くを失っている感じで後悔している。ということで最近、記憶することを心がけている。

最近、憶えようと心掛けていることと効果
  • 本を読んでいるとき憶えておいた方がよいと思ったこと  → 読みながら憶えると前後関係や論理が鮮明となり、目を開かされた感じがする。
  • 身近な地名 → 方向音痴が改善。
  • 地図上の地名 → ぐちゃぐちゃになっていた頭の中の地図の整理。
  • 出来事と年代 → 世の中も自分にもいろいろなことがあったことが思い出され、過去と未来への見透しが少しよくなった。

多分、皆さんが普通にしていることが私にはできていなかったようである。

2014年9月13日土曜日

能力開発(6)記憶力アップはボケ防止?

能力開発(5) 英語力3
能力開発(4) 英語力2
能力開発(3) 英語力1
能力開発(2) 繰り返す力
能力開発(1) はじめに

能力開発(6)記憶力アップはボケ防止?


 高校の修学旅行で夜、花札をした。めっぽうに強いのがいた。どうしてそんなに強いのかと聞くと、花札を混ぜるときに、何の札がどこあたりにいくか覚えておくと答えた。大学生の時、麻雀の強い同級生に何故、そんなに強いのかと聞くと、牌を混ぜて山に並べるとき、牌がどこにいくのか覚えておくと答えた。先日、TVで客に好きなカードを取らせて、そのカードを言い当てるトランプ・マジックをやっていた。めずらしく種をあかした。どこにどのカードがあるか覚えておくと言っていた。

 宮沢りえさんは、天海祐希さんの突然の病気で、急に舞台の代役を務めることになり、2~3日の間に、主役のセリフを全部覚え見事に代役を務め世間を驚かせた。

 画家は、景色や一瞬の動きを切り取って細かく記憶する能力を持つという。音楽家は一度曲を聴くだけで覚えるとも聞く。

 これらの人は、必要期間だけ覚えている。そして、忘れる。そして次の何かを覚える。これを繰り返す。職業柄とはいえ、人間の記憶力にはすごいものがある。

 次から次へと覚えなければ職が成り立たないという人は少なくて、現在の職業に必要な知識は忘れてはならないが、新たに追加しなければならない知識、覚えなければならない知識はそれ程多くはないというのが普通であろう。

 ワイドショーや週刊誌が蔓延って噂話に事欠かない現在でも、芸能人、画家、ミュージシャンがボケたとか、アルツハイマー病になったとかほとんど聞かない。彼らは通常生涯働く。意識する意識しないに係らず記憶力が鍛えられている。一般人と比較して、ボケる確率はかなり低いと推察する。

 記憶力をあげて、いろんなものを記憶することは、上記の芸能人や画家など以外、小学から大学まで、学生にとって不可欠である。そして、社会人にとっても必要である。ボケ防止になるということであれば、老人にも不可欠かつ重要となる。

   私の記憶力はひどい。妹からは、昔のことを何も覚えていないので、話していて、ちっとも面白くないと言われ、女房からは旅行に行っても、ほとんど忘れているので、お金の無駄遣いだと言われている。確かに私は、覚えようという意識が低い。

 これではボケる可能性がある。ボケたくはない。人間はだれでも生来、すばらしい記憶力を持っているのに訓練されていないだけではなかろうか。自分にも潜在能力があるかもしれない。なによりもボケ防止に記憶力を意識して鍛えてみようと思っている。

2014年9月5日金曜日

気象気候あれこれ – 増える異常気象

   異常気象による災害が多く、大きくなっており、だんだん他人ごとではなくなっている。何がどうなっていて、今後、どうなるのか。

 一般的な見解は、「地球温暖化のため、異常気象が多くなった。排出されるCO2は増え続けているので、今後も温暖化は確実にすすむ。異常気象はさらに増し、災害は増え続ける」である。

 異常気象による災害が、ここまで増えると、みんな異常気象は何故どのようにして起きるのかと問いかける前に、自分の住んでいるところの危険性や災害にあった場合の対処方法のほうが気になる。

 しかし、異常気象や温暖化の長期対策、抜本対策には、気象気候問題の解明と周知が重要かつ必要であるため、ここでは気象気候についての何故何故を考えていきたい。 

 気象気候問題は、専門家もまだわかっていないことが多い。観測技術は急速に発展しており、多くのデータが取得され、多量データの処理技術も発展しようとしている。ことが深刻であるぶん、この分野は急発展しており、ホットである。

 気象気候を考えるうえで知っておかなければならない基礎知識がある。先ず、それを紹介して、次に何故何故を示し、答えを探っていきたい。

 基礎知識として、以下があげられる。これらを数回にわたって紹介していく。
  1. コリオリの力
    地球が自転していることによって生じる力。貿易風、偏西風、台風、竜巻等々コリオリの力による。

  2. 太陽及び地球の輻射強度
    太陽の熱が、地球の温度を決める。とは言い切れない面もあるが。太陽の輻射エネルギー、地球の輻射熱を見積もることができる。

  3. CO2分子およびH2O分子の振動
    太陽光の波長にCO2分子およびH2O分子が共振する。この共振が地球の温度に大きな影響を与えている。
(次回、コリオリの力)

2014年8月30日土曜日

日本人論2-頑張るボトムとダメトップ


 前回、「讃えられる”GAMAN”と利用される我慢」を書いた。これは言いかえれば、頑張るボトムとダメトップにつながる。卑近な例では、会社の頑張る部下とダメ上司となる。〝叱ってなんぼ、叱られてなんぼ″、〝無理難題をなんとかするのがサラリーマン″。 これらの言葉は、まさに頑張る部下とダメ上司を象徴しているようにみえる。というのは、上司は部下を頑張らすことによって成果をあげて、本来の上司の仕事をしていないと考えられるからである。

 上司の上には上司がおり、更にその上に上司がいる。縦長の階層になっているなかで、下層部を頑張らすことが、上層部の仕事になっている。このため中間管理職は上から下まで、管理され管理することに一所懸命になって、上層部が本来すべきとされている経営がおろそかになっているように感じる。

  • 私が所属していた半導体業界は、アメリカに巻き返され、台湾に負け、韓国に負け、今は見る影もない。国際協業体制など分散化が進んでいたのに垂直統合に拘って負けた。
  • 電機製品は機能的には豊富であるが、市場性に欠け、国内で他国製品の進出を許している。
  • 水ビジネスなどは、フィルターなどは優れているが、総合的なシステム販売で負ける。

 結果的に、動向が見えていない、市場が見えていない、システムが見えていないということになる。また、管理職はたくさんいるのに、有効に機能していないともいえる。

 何故このようにダメ管理職になるのか。私は、江戸時代のお上と下々意識が今なお強く残っているせいではないかと思う。下々はお上のすることに口出しをしてはいけない、従っているだけ。お上が考えるべきことは一切考えない。

 現在においても、上のすることにほとんど口出しせずに従っている。このため下にいけばいくほど、視野が狭くなる。上にいっても無意識に視野に制限がかかって、あまり広がらない。社長になっても明日のことより、今日の利益のため、下を頑張らすことにエネルギーを注ぐ。

 上にいけばいくほど、おえらい意識が強くなって、部下教育のつもりのお叱りや説教がまかり通り、本来すべきことを行っていない。

 結果的に、大局的に将来をみる、市場をみる、システムとしてみる、などが不十分になり、他国の追い上げを許し、そのあげく負けてしまっている。

 管理され管理するのは、会社だけかと思えば、どうもそうでない。学校の先生は、書類作成などの雑務が多く、教育ができていない。 ”とにかく教育をさせてくれ”とは、真面目で真摯な先生の叫び声である。

 警察官の不祥事が、マスコミに取り上げられる毎に検察官への管理がきつくなり、最近では休日のデートまで報告する必要があるとか。

 日本全体が、無駄の多い、無味乾燥な縦長の管理構造が蔓延し、大局的にものをみたり、考えたりすることが不足している。

 どうすればよいのか。

 私はまず、上下意識をなくすべきだと思う。

   なぜあなたは、部下と平気で言うのか。部下は馬鹿であなたはそれほどえらいのか。なぜあなたは上司と平気で口にするのか。上司はそれほどえらくて、あなたは馬鹿なのか。

 上下意識は、いまや不要であろう。あるのは役割分担であろう。部下という言葉も、上司という言葉も死語にしろ、それほど卑屈になるな、それほど威張るなといいたい。
 未熟だから部下だというのであれば、早く教育して一人前にしろといいたい。

 管理という言葉もなくすべきだと思う。管理の英訳は、manage となっている。 manage は、「うまく処理する」という意味で、日本でいう管理の意味はない。

 次にすべきことは、縦長の管理構造を潰すことだと思う。全ての管理職をマーケット部門や事業戦略室などにまわして、市場調査や動向調査などを充分に行ってもらう。

 いまのままでは、日本全体に大局的に考える人の絶対数が不足している。質も量を足りていない。

 上下意識をなくす、縦長の管理構造を廃止し、大局的に考え行動する組織にすれば、日本本来の強みである現場力と大局観による将来力を組み合わせられることになり、他国に負けることのない強靭な社会ができると考えられる。

日本人論1‐讃えられる”GAMAN”と利用される我慢

2014年8月25日月曜日

能力開発(5)英語力3

能力開発(5)英語力3


 世界中で最も難しい言語は? それは日本語と言われている。

 外国の人にとって日本語の会話はそれほど難しくないが、読み書きとなると世界一難しくなる。

 日本語には、多様性と、柔軟性がある。この多様性と柔軟性により、次々と新しい日本語ができている。明治時代は造語がさかんであった。今はカタカナの外来語が定常的に増え続けている。和製英語だってある。そのほか、業界用語に、その職場でしか通じない職場語、女子高校生語(いまや標準語?)、などなど日本語は増え続けている。

 日本文学者のロバート・キャンベルさんがテレビで次のように言っていた。

 「英語は、昔も今もほとんど変わらないのに対し、日本語は時代とともに大きく変わってきた。日本語の時代変化の激しさにひかれて日本文学者になった。」

 漢字を取り入れたときから、日本語の変化が始まっているとしたら、日本語の時代変化は筋金入りで千年の年紀がはいっている。この年紀が日本語を奥深くしている。この奥深さにより、微妙な感情表現が可能になり、日本人の感性を豊かにしている。そして、それを外国の人に伝えるのは難しいと日本人は思っている。つまり、日本語は外国人に難しいと日本人自身も感じている。反面、短期で日本語をしゃべる外国人に感心している。

 脱線気味になったが、ここで私が言いたいのは、「世界一難しいといわれる日本語の読み書きを習得してきた日本人にとって、英語の読み書きは、英語のヒアリングほど苦労しない、むしろ得意だろう。」ということである。 現に英語のヒアリングが不得手なのに、英語の本や文献を読むことによって日本人は西洋文化や技術を短期間で吸収してきた。

 読み書きは苦手ではない、しかし、ヒアリングは苦手という日本人に適した英語の勉強方法はどんなものだろうか。

 パソコン上の英文とナレーションが、日本人に適した英語の勉強環境であると考える。よいヘッドフォンがあればさらに良い。パソコン上であれば、ナレーションを途中で止めたり、再開したり、簡単にできる。

 最近では、アメリカのCNNやPBSなどのニュースをパソコンで聞くことができる。そしてYoutubeで英語のドラマや映画も聞くこともできる。単に英語を聞くこともヒアリングの勉強ではあるが、聞き取れないところは何回聞いても聞き取れない、しかし、英文が手元にあれば聞き取れるようになれる。

 英文とネイティブなナレーションがあれば、まず英文を読んで理解する。これは通常、日本人が行う英語勉強である。そして、日本人が不得手とするヒアリングに取り組む。ナレーションを聞くとともに。自分で発音もしてみる。聞き取れないところは発音もうまくできていない。聞き取れるまで発音練習とリスニングを繰り返す。これを行えば、英語は上達する。誰でもがそう思ってもらえるだろう。
 聞き取れないところをサポートする英文があるというのが、ミソであって、勉強方法は人それぞれであり、先に英文を読んでおく必要はない。

 英文とネイティブのナレーションで、私が知っているものを次にあげる。
  1. BBC Learning English-6 minutes english
  2. English Today
  3. 英語の字幕がついている英語のドラマや映画
  4. Audiobook(字幕とナレーション)
面白い、わくわく感があれば、英語の上達も早い。そういった意味では、英語の字幕がついている英語のドラマや映画が一番良いと思うが、ネット上では、英語の字幕付きはなかなか見つからない。

 最近、YoutubeにAudiobookというのがある。百聞は一見に如かずなので、Audiobookを下に示す。



 多くの人は子供の時にお母さんに本を読んでもらっている。もちろん日本語で。これは日常会話以外の日本語を学ぶスタートである。でも英語の本は読んでもらっていない。このAudiobookは、まさに英語の本を読んでくれている。

 上にあげたのは、邦題「赤毛のアン」である。 その外に
 秘密の花園
 ロビンソン・クルーソ
 トム・ソーヤの冒険
 ディケンズのクリスマスキャロル
 
 子供がよく読む本をあげたのは、単にヒアリング勉強のイントロとして、適しているのではないかと思っただけである。これらの本は、子供だけを対象にしたものではなく、歴史に残る文学書で、読み応えも聞きごたえもある。

 Audiobookには、チャールトン・ヘストンが読む老人と海というのもあるが、これは残念ながら字幕が入っておらず、画面は固定である。
 要は、興味があって、ワクワクしそうな字幕付きのAudiobookを探して、ヒアリングを勉強すればよいというのが私の提案である。

 発音の練習も忘れないように、発音とヒアリングは双子の兄弟である。前回のブログを読んで頂いた読者から、「学生時代から発音には注意してきた。海外で英語の発音を習ったこともある。一般言われている[r] と[l]の違い以外にも [s] と[ʃ] 、[z][ʒ] についても日本人は苦手。」などコメントや意見を頂いた。この方は、きちんと発音の重要性がわかっておられるが、発音練習などしない人も多いのでなかろうかと危惧する。

 発音に関する無料のサイトがあれば、良いが。なかなか見つからない。
 次のサイトは、発音練習の助けになると思う。
 http://www.linkage-club.co.jp/entry/hatsuonkigo.html
 発音記号を押せば、発音が聞こえてくる。

 次もヒアリングの参考になると思う。
 British EnglishとAmerican Englishの違い https://www.youtube.com/watch?v=2nAnT3PASak   
 American Englishのイントロ https://www.youtube.com/watch?v=IQHo2RW0Tm8
辞書にはのっていない短縮発音 https://www.youtube.com/watch?v=c8k1O8KwGXA

 ヒアリングの勉強の成果確認に、又、純粋に英語で情報得たり、楽しんだりするためのサイトを少し紹介する。

 先ずは、英語のニュースサイト。

CNNビデオニュース、  BBCニュース

 Youtube で BBC drama で検索するとイギリスのTVドラマ(1時間以上も)を見ることができる。Youtubeには、自動字幕機能があり、これをオンオフすることができる。しかし、これは現段階では、全くだめです。使わない方がよい。

 最近は、ネット上の大学が人気を博している。
 https://www.coursera.org/ プリンストン大とスタンフォード大が協力して作ったサイト

 前回のブログの読者(先程とは違う読者)から、こんな面白いサイトにあるよと紹介頂いた。
  http://www.ted.com/
 TED(Technology Entertainment Design)とは世界の叡智が講演をおこなう極上のカンファレンス とのことです。  TEDを始めてみる人のための紹介サイト 



2014年8月16日土曜日

能力開発(4)英語力2

能力開発(4)英語力2


 前回のブログで英語と日本語について述べた。言語を限定せずに書き直してみると次のようになる。
  1. 幼少期に、自国語の周波数帯をはみ出た音はノイズとして認識されるように脳が出来上がってしまう。
  2. 言語は主に耳で覚える。自国の言語で使われている周波数は外国語の学習能力に大いに影響する。
日本語は低周波成分が多く、高周波領域を除外するように脳が出来上がってしまう。英語が持っている高周波領域は、日本人の脳はノイズとして受け付けない。このように日本人は英語を耳で学習する能力を奪われているので、日本人は英語が下手である。

 インターネットで各言語の使用周波数を調べてみた。下図と類似な図がいくつか見つかった。大同小異であったので、最もたくさんの言語を含んでいた図を下に示す。

   日本語と英語は、周波数が重なるところが全くないのか? 横軸は対数表示のようなもので、対数表示ではない、どのような基準で横軸は書かれているのか? 正確さはどの程度なのか? などいくつも疑問が湧く図ではある。

 しかし、ロシア人は言語能力が優れている、日本人はフランス語が上手である、日本人は英語が下手である、英語を苦手とする国は多い、など一般的に言われていることを説明する図になっている。

 意外なことに子音のない言語と言われているイタリア語の周波数が高い。スペイン語は、日本語より低周波で周波数帯域が狭い。
 スペイン語を母国語とするメキシコ人の多くがアメリカに移民する。彼らは、日本人以上に英語で苦しんでいると予想される。

 もし、日本人が英語を十分に聞き取れるようになれば、低周波領域から高周波領域までカバーできることになる。どんな国の言葉も聞き取れることになり、言語能力に優れた民族に豹変することに間違いなしである。

 幼少期にノイズだと遮断した英語の高周波成分をどうしたら聞き取れるようになるのであろうか。凝り固まった脳を柔らかにしなければならない。これは並大抵なことではない。

 ということで編み出されたアイディアがある。それは、まず英語の発音を訓練することだという。発音がうまくなれば、より聞き取れるようになる。聞き取りがうまくなれば発音も上達する。英語が楽しくなる。英語の勉強や英語に接する機会が増える。英語が更に上達する。

 英語の発音の勉強はどのようにすればよいか? どの英語の辞書も発音について触れている。辞書に書いてある発音方法は絵が描かれていないことが多いのでわかりづらい。

 これを書いていて、数年前に英語の発音に関する本を買ったのを思い出し、棚の奥から引っ張り出して、読み直してみた。

   英語脳DVD  遠藤尚雄著 主婦の友社 ISBN4-07-249780-0
(本屋では、店員さんにISBN番号を言ったほうが、早く見つかる場合がある。)

 この本では、英語発音時の唇の形が8種類に分類されている。舌の位置も8種類に分類されている。約50にわたる英語の発音を、どのような唇の形で舌の位置はどうするか、そうしてどう発音するかなどを説明している。そして同一内容のDVDがついている。

 いまは、この本が本屋にあるかどうかわからない。が、同一著者がネット上で発信している。
  http://www.pasocon-eikaiwa.com/

 本を買った時には、一読のままで終わったが、改めて練習してみようと思っている。この本以外にも探せば、英語の発音に関する本やネット情報はいろいろあると思う。

2014年8月9日土曜日

PPTマクロ(6)

PPTマクロ(6)、PPTマクロでつくったもの2
PPTマクロ(5)、PPTマクロでつくったもの1
PPTマクロ(4)、マクロで四角形や楕円などを描く
PPTマクロ(3)、マクロで直線を描く
PPTマクロ(2)、マクロを有効化する
PPTマクロ(1)、マクロ作成の動機

PPTマクロ(6)、PPTマクロで作ったもの2


 マジカルアイという本が本屋に並んでいる。目の焦点をページに書かれている絵の奥もしくは手前に合わせると絵が立体的に見える。本の各ページには左右に同じような絵が書かれている。絵の手前もしくは奥に自分の目の焦点を合わせると二つあるはずの絵が三つにみえる。そして、真ん中の絵が立体的に見える。

  次の絵を自分の目の焦点を絵の奥に合わせたり、絵の手前に合わせたすると立体的に見える。 目の焦点を手前に合わせると青い円は手前に、赤い丸は奥に見える。奥で合わせると赤い丸は手前に青い円は奥に見える。この技術は、一般的になんと呼ばれているか知らない。ここでは、マジカルアイ技術と呼ぶことにする。


 次の図は、PPTマクロで作成した3次元の幾何学模様で、マジカルアイ技術を使っている。目の焦点を奥に合わせたり、手前に合わせたりすると立体的に見える。今回の場合は目の奥側にあわせるこを前提として書いている。




 3次元図形を2次元で表現する方法は、奥行き方法に対する色変更、もしくは複数の回転図形表示がある。マジカルアイ技術も立派な3次元の表示技術である。回転表示とマジカルアイ表現と組み合わせるとパーフェクトと思う。
 
 画家は、並外れた動体視力や細密技術を持っている。マジカルアイ技術を駆使する画家がいてもおかしくないと思っていた。上図のように3次元の幾何学模様をマジカルアイ表示してみて、 これは手書きでは不可能である。まさにPPTマクロの出番であると感じた。

  一般に販売されているマジカルアイの本は視力をよくしますよという謳い文句である。マジカルアイの本を数冊買って、近眼を治そうと思って一時期、頻繁に見ていた。近眼が矯正されることはなかったが、立体的にみる能力が確実にあがった。散歩をしていても木も山も建物までも、いままでと違って、より立体的に見えて感動した。  多分それまでは、両目あっても片方の目でしか見ていなかった。そして今は両目で均等にしっかりみているのであろう。

 このマジカルアイ技術は、複雑な結晶構造や蛋白質構造、DNA構造など、その複雑な構造の理解を容易にするのに有効であると思う。いずれ理科系の教科書や専門書でマジカルアイ技術が使われる日がくると信じている。

2014年8月4日月曜日

PPTマクロ(5)

PPTマクロ(6)、PPTマクロでつくったもの2
PPTマクロ(5)、PPTマクロでつくったもの1
PPTマクロ(4)、マクロで四角形や楕円などを描く
PPTマクロ(3)、マクロで直線を描く
PPTマクロ(2)、マクロを有効化する
PPTマクロ(1)、マクロ作成の動機

PPTマクロ(5)、PPTマクロで作ったもの1


 PPTのマクロを使って何をするのか。これが一番重要かもしれない。PPTのマクロは単なる道具である。
 このブログにのせている幾何学模様は、直線を引く機能を使う。また R = f(θ) :X = Rcosθ、Y= Rsinθ を使う。 角度θを与えると、Rの計算値が出る。角度0度の時のRと角度1度の時のRを直線で繋ぐ。次に角度2度の時のRを計算し、角度1度の時のRと繋ぐ。このように角度を1度づつ増やして、繋げていく。
 f(θ)はsin、cosを適当に組み合わせて作る。θの前にも適当に係数をつける。

 数学の勉強は、与えられた問題を解く、既に解かれた問題を理解することに終始してきた。が、この幾何学模様は数学の問題を自分で作り自分で解くという楽しさがあった。問題はあまりにたいしたことないが、それでも楽しさがあった。私の場合、f(θ)を適当に作ったとき、その模様がどのようになるか考えず、予想もせずプログラムを走らした。そして描かれた図形を見て、へぇ~こんなになるのかと感心した。 デザイナーには、いろんなインスピレーションを与えるだろうなと思った。
 
 そして、数学は、解くことを教えるだけではなく、問題を作ることも教えたらどうか とも思った。2次方程式の解法を学んだら、3次方程式の解法は?、4次方程式の解法は? など。また、平方根の出し方を学んだら立方根の出し方は? などもある。でも問題を作ることを教えたら、生徒の質問に先生は簡単に答えることができない。下手をすれば、生徒が世の中でも解けていない問題を解くことに嵌(はま)り、人生を棒に振るかもしれない。 
 
 それでも、問題を作ることを教えるべきだと思う。そうすれば、勉強方法、考え方が変わり、見える世界が変わる。そして、人生が変わると思った。数学の問題を作ることから、発展し、数学以外の分野で、それぞれの人が些細な問題から、大きな問題まで、自分で問題を作り、自分で解いていく。 受け身の人生ではなく、能動的な人生に変わる。人に与えられた問題を解くのではなく、自分で問題を作って解いていく。織田信長は天下統一という大きな問題を作り、その問題を解くことに邁進した。

 幾何学模様に話を戻す。いろんな幾何学模様を書いていると、最初はマニュアル操作が多かったが、だんだんこれはプログラム化できる、ここもプログラム化できるという風にプログラムの行数が増えていった。最初は、設定した枠内に収まる幾何学模様に限定していたが、枠をはみ出る関数も扱うようになった。このときは、たくさんのバグがでた。


いままで描いてきた幾何学模様
(18)(17)(16)(15)(14)(13)(12)(11)(10)(9)(8)(7)(6)(5)(4)(3)(2)(1)
 
 θの係数を少しづつ変化させると、たくさんの図形ができる。できた図形を動画にして、Youtubeに載せてみた。





 幾何学模様は、今まで R = f(θ) を扱ってきたが、最も一般的な  Y = f(X) がある。
X=f(u)、 Y = g(u) で表わす図形もある。 famous curves といって、歴史的な数学の巨人が検討した幾何学模様もある。 これらの書かれた図形をある種の変換をして、全くの別の幾何学模様にしてしまう方法もある。famous curves を勉強するのも楽しいかもしれないが、私としては、気ままに関数を勝手に作って、楽しんでいく方法を選ぶ。 3次元の幾何学模様も考えられる。3次元となるとどう表現するかも課題である。

 何事も最初の取っ掛かりが、難しい。最初の取っ掛かりがうまくいけば、あとは何とかなるというのがPPTマクロを作った感想である。ということで最初の直線や丸、四角を描くところまでは丁寧に書いたが、作ったものの説明は大幅に省略した。私自身、コマンドやコマンドの使用法が分からなくなるとPPTマクロ(2)であげたマニュアルを見る、もしくは、関連する単語を並べて、インターネットで検索して答えを見つけてきた。最初の山を越えると本なり、マニュアルなり、インターネットなりで調べて答えを見つけることができる。最初は、本当に何をどうしたらよいか、わからない。誰に聞けばよいのか、インターネットにどう聞けばよいか、インターネットに聞けばよいということすらわからない。わかってしまえばどうってことないことでも、最初はわからないから不思議である。

2014年8月1日金曜日

地球温暖化メカニズム考察(11)

地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2
地球温暖化メカニズム考察(11)、先カンブリア時代の気候変動3

地球温暖化メカニズム考察(11)、先カンブリア時代の気候変動3


先カンブリア時代(5億4千万年以前)のおさらい
  1. 大気中のCO2分子とH2O分子は、 太陽光に対して共振する。 共振したギターの弦に音がこもるように地球の大気に熱がこもる。 このため、 大気中のCO2分子とH2O分子の量が、 地球の温度を決める。
    今までに述べてきたように大気中のCO2が増え始めると大気中にH2OとCO2が更に増え、 地球の温度を益々上げる。 大気中のCO2分子が減り始めると大気中のCO2分子とH2O分子が更に減り、 地球の温度を益々下げる。 このため、 生物の影が薄い先カンブリア時代には、 何度か地球全体が凍ったり、 逆に地球全体が超温暖化状態になったりした。 地球全体が凍る現象は全球凍結と言われている。

  2. 大陸は離散・集合を繰り返す(下図参照)。 現在の地球は、 5大陸に別れているが、 2.5億年前にはパンゲアと呼ばれる超大陸があった。 その前は、いくつかの大陸に別れていた。 その前は、 コンドワナと呼ばれる超大陸があった。 そして、その前も・・・・。
    大陸が分裂するときは大気中のCO2分子が海に吸収される傾向にあり、 大陸が集合するときは、 CO2分子が大気中に放出される傾向にある。 大気中のCO2の増減が、 ある時は全球凍結の引き金となり、 ある時は超温暖化の引き金になった。 又、 ある時には全球凍結からの脱出の役割を果たし、 ある時には超温暖化からの脱出の役割を果たした。 更に地球温度の安定化の役割を果たすときもあった。

    地球の離散や集合サイクルは数億年である。 地球の温度が大きく変わる期間は、 それよりは短い。 例えば全球凍結が継続した期間は数千万年と言われている。

  3. 太古の地球の大気には、 多量のCO2分子があった。 大陸には多量の単体金属が存在した。 大陸が離散集合を繰り返す間、 多くの金属イオンが海水中で炭酸イオン(HCO3-)と結合して炭酸塩岩となった。 海水中の炭酸イオンの消費は、 大気中から海中へのCO2の溶融を引き起こし、 CO2の大量消費つながる。 大気中のCO2分子の大量消滅は、 当然ながら全球凍結の大きな原因であり、 超温暖化からの脱出をも可能にした。

    CO2の消費はこれだけではない。
    38億年前に原始的な原核細胞と呼ばれる原始的な細胞をもつ原核生物が誕生した。 やがて光合成を行う原核生物である藍藻が現れた。 この藍藻による光合成活動で大気中のCO2が消費されO2が発生した。 このO2は先ずFeの酸化に使われた。 このとき地球上のFeほぼ全部を酸化したと言われている。 Feの酸化が終わったあと大気中にO2が増えていった。 この藍藻の光合成活動は、 超温暖化からの脱出にも寄与したと推定される。

    先カンブリアの時代、 原生代(40億年~5億4千万年)の初期に誕生した原核生物(単細胞)は、 真核生物(単細胞)に進化し、 さらに多細胞生物に進化していった。 30億年以上かけて、 自然は、現代科学が解明しきれていないほど複雑で高機能な生物の基礎となる細胞を作り上げていった。
    又、 原核細胞である光合成藍藻によって、 地球の大気に、 生物にとって重要なO2分子が大気中に供給された。 そしてカンブリア爆発と呼ばれる生物の大爆発が起きる。

こうして、 先カンブリア時代の出来事を要約してみると、 にわかに信じがたいことの連続である。 ここに述べたことは、 昔からわかっていることではなく、 ここ20~30年の間の研究で明らかになったことが多い。

 寒冷化は更なる寒冷化を呼ぶ、 温暖化は更なる温暖化を呼ぶ。 このサイクルは正のフィードバックと呼ばれている。 全球凍結や超温暖化は、 正のフィードバックの結果であり、 気候は本質的に不安定な要素を持っているという確証である。
多くの地学や気象・気候の本で、 この正のフィードバックが記述されている。 が、 記述されていない専門書もあり、 まだ十分に認識されているとは言い難い。 これは正のフィードバックの研究がまだ不十分なせいでもある。 国際機関である気候変動に関する政府間パネルIPCCもやっと最近になってやっと、この正のフィードバックに関する言及が増え始めた。

 現在の地球温暖化は過去に例のない猛烈なスピードで進んでいる。 既に猛暑、異常気象と言う形で生命を奪う災害を引き起こしており、 食料生産にも影響を及ぼしている。 温暖化防止の観点からも、温暖化を促進する正のフィードバックおよび温暖化を抑制する負のフィードバックをもっと研究・熟知する必要がある。 そして、 具体的で有効な温暖化抑制策を抽出し、 さらに周知することによって、やっと温暖化抑制策が確実に実行され、 機能すると考えられる。

 先カンブリア時代は、生物の影が薄い時代である。 しかし、光合成を行う原始的な原核細胞の藍藻が、地球上ほぼ全部のFeを酸化し、大気中に酸素を増やしていった。 生物の力、恐るべしである。 この生物、 原核細胞が進化し、 多細胞生物となり、生物の大爆発が起きた。 大爆発した生物は、一体どのように地球の気候に影響を与えたのであろうか。

 次回以降は、 生物が顕著になった顕生代について述べる。 顕生代は、生物の大爆発が起きたカンブリア紀から現在までをさす(5億4千万年前から現在)。

(参考資料)
・凍った地球 田近栄一著 新潮選書
・地球惑星科学2 地球システム科学 岩波書店
・地球惑星科学3 地球環境論 岩波書店
・地球惑星科学11 気候変動論 岩波書店
・地球学入門 酒井治孝著 東海大学出版会
・地球のしくみ 新星出版社
・最新地球史がよくわかる本 川上紳一・東條文治著 秀和システム 

2014年3月11日火曜日

能力開発(3)英語力 

能力開発(3)英語力


 英語はたくさん勉強しているはずなのに、英語ができない。中学、高校と勉強の半分近く英語に使った。大学では、専門書として英語の本を紹介され、それもある程度は読んだ。英語の論文も読んだ。でも英語はさっぱりである。英語をネイティブにする国の5歳児にも及ばない。開発途上国の、それもかなり遅れている開発途上国の子供がマイクを向けられて英語でどうどうと受け答えしている。私は、あんなに答えることはできない。

 小澤征爾さんは、パーティや会合にほとんど出席しなかったと日経新聞の私の経歴書で書いておられた。理由は言葉ができなかったとのこと。え~っと彼ほどの国際人がと信じられない。ずっと前になるが布施明さんがオリヴィア・ハッセーとの離婚理由を聞かれたとき、言葉が・・と顔が曇った。  私だけではない、日本人は英語が下手である。泣けてくるほど下手である。多分、本人が思っている以上に下手である。

 一方、日本人は日本に来た外国人が短期で日本語をしゃべるのを聞いて驚く。誰もが日本語が上手な欧州人、アジア人、アメリカ人の名前をすぐに言うことができる。日頃馴染みのない国の外国人も日本語がうまい。ボビー・オロゴン(ナイジェリア人)は日本語でギャグる。 にしゃんた(スリランカ人)は、川柳クイズで日本人と対等に渡り合う。ゾマホン(ベナン人)は早口でしゃべくりまくる。

 何故このように彼我の差があるのか、次の話を聞いて、なるほどと、英語にまつわるいろんな疑問が解ける。

「英語の周波数帯域は非常に広いのに対して、日本語の周波数帯域は非常に狭い。日本人の場合、幼少期に、日本語の周波数帯をはみ出した音をノイズとして認識し、高周波領域を除外するように脳が出来上がってしまう。英語が持っている高周波領域は、日本人の脳はノイズとして受け付けない。」

 日本人の英語で最大の問題は英語が聞き取れないことにある。どの国の人も自国語の新しい言葉はまず耳で覚える。生まれたときからほとんどの言葉は耳で覚える。

 会社で同じ部署にいた中国人は、日本語はほとんど聞き取れると言っていた。テレビのウルルン滞在記という番組では、タレントが世界中にでかけて現地の家族に入り込んで一緒に生活をしていた。タレントが言う日本語はすぐに真似られていたが、その逆はなかった。日本語は非常に聞き取りやすい言語である。これが外国人が短時間で日本語がうまくなる理由である。

 琴欧洲にアナウンサーが、どうして日本語がうまくなったのかと聞いたら、赤ん坊と一緒と答えた。外国人は、全く日本語を知らなくても日本に来たら赤ん坊のように日本語を聞いて覚える。しかし、成人になった日本人が外国に行っても赤ん坊になれない、赤ん坊以下である。赤ん坊なら英語の高周波成分は聞き取れるが、日本で育った成人の耳は英語の高周波成分を拒絶する。

 若い人が他国に比べて、外国にでかけていかないというのもうなずける。言葉が聞き取れないから、腰がひける。
 日本人にとって、英語のヒアリングはたくさんのノイズを聞かされるのと同じなので、聞き取れない以外に快適ではない、むしろ不快である。不快であるから、英語を聞かない。英単語の覚えも悪い。勉強も遠ざかるなど、悪循環である。英語はあれほど勉強したといいながら、実は本人が思っているほど勉強していない上に、勉強が不効率となって、英語離れを起こしている。


 日本人が英語をうまくなるためには、英語に対して、まず耳を作るべきであろう。つまり英語を聞き取る訓練が最優先されなければならない。
 この耳の問題があるので、何歳から英語を習うべきかという問いに対する答えは、かなり難しい。いろんな分野の人が協力しなければ、答えがでない研究分野であろう。

 個人的には、小学生の時は、しっかり日本語を勉強し、英語は中学からでよいと思っている。但し、教える方も教わる方も、英語は日本語にない高周波数を含んでおり、その高周波を聞きとる必要があることを認識して、まずはヒアリングを重視した教え方、習い方をすべきであろう。

 いまでは、英語のヒアリングはPCやスマホなどいろんな機器を通して簡単にできる。 一番良いと思うのは英語の字幕が流れる英語の映画やTV番組を見ることである。何度も見聞きすることにより自分が聞き取れない言葉を把握し、その言葉を聞き取れるようにする訓練が良いと思う。


 日本人は英語に堪能になり、世界に向けて英語でどんどん意見や考えを発信する必要がある。そうしないと、スポーツの世界で日本人に不利になるようにどんどんルールが変えられていったが、そのようなことが、いろんな分野で起こりうる。

 もし英語が聞き取れる教育や訓練が行なわれれば、日本人は勤勉だから、人口の半分以上の日本人が英語に堪能になれる。周りにいる普通のおじちゃんやおばちゃんまでも英語がうまくしゃべれる。そうなれば、日本人の国際的地位は確実に上昇する。ビジネスチャンスも広がる。

(次回の能力開発、英語力続編です。)

2014年3月1日土曜日

能力開発(2) 繰り返す力

能力開発(2) 繰り返す力


 小学校から大学まで、どんなクラスにも、努力していそうにないのに、必ずできるやつがいる。勉強でも運動でも。社会に出ても余り状況は変わらない。このため、多くの人が自分には能力がないと劣等感に悩まされる。私も、なんであいつは知っているのだ、わかっているのだ、どうしてそんなことができるのか、それに反して自分は・・、とそんな思いがいつも心のどこかに・・・。

 40才代に喘息になった。喘息はつらい。吸いたい息が吸えない。直りたい一心で散歩と柔軟体操を始めた。喘息でつらい思いをした分、気づけば20年近く続けている。体調はずいぶんよくなった。あれだけ堅かった身体も、他人からみれば相変わらず堅いけれども、ずいぶん柔らかくなった。続けることは素晴らしい。それから繰り返す力に興味を持った。

 息子に繰り返す力は重要であると言ったら、知っているという。誰かがストイコビッチにどうしたらサッカーがうまくなれるかと聞いたそうだ。そうするとストイコビッチは、Repeat, repeat and repeat と答えたそうだ。ストイコビッチは、ユーゴスラビアの元サッカー代表選手で現役のとき、テクニックの華麗さで世界をうならせ、名古屋グランパスの監督を務めた人である。
野球の神様といわれた川上哲治さんは、巨人の監督をやめられたあと、少年野球の指導でいつも子供たちに繰り返しの重要性を説かれていたと聞いた。

 スポーツ選手や職人をみていれば、ストイコビッチや川上元監督の話がよくわかる。信じられないレベルに達しているのをテレビで日常的に目のあたりにする。
 もし繰り返す力の効果を子供の時に知っていれば、子供の時でなくとももっと早く知っていたら、と思う。

 そういえば、人はS字S字で成長すると何度か聞いた(下図)。繰り返すことによって必ず上達するといっても最初はなかなか成長しない。しかし、その次には成長するときがくる。そのあとは、努力しても停滞してしまう。それでも次のS字が待っている。  職業の場合、種々の理由で最初のS字を書く前に、今の職業を止めなければならないこともある(図の①)。運動選手の場合、見事にS字を書いたとしても、次の新たなS字を始めなければならないことが多い。第2の人生というやつである(図中の②)。


 もし繰り返す力の重要性と効果を知っていれば、第二、第三の人生が甘くないとことと同時に頑張れば、成功するという信念を持てるのではなかろうか。

 繰り返すことの重要さは、あらゆる世代で強く認識されるべきであると思う。 小学生には、繰り返せば必ず上手になるし、勉強もできるようになることを確実に教える。興味の持てるものを見つけさせ、もしくは、親や教師が何か興味の持てそうなものを与え、繰り返しの効果を体験させれば、それがその子の大きな宝となるはずである。大事なのは、その子の達成した成果と同時に、繰り返しは重要なのだなと思わせることであろう。

 定年退職をして、趣味でⅩⅩを始めたが、自分には才能がないというのを何度か聞いた。才能の有無ではなく、好きか、そうでないかということでないですかと答えることにしている。好きであれば、繰り返すし、そして、いつかはきっと上手になる。
 数年前から、卓球をしている。ここでも先生が、繰り返しは重要です、繰り返さないとうまくなりませんと言われる。考えながら繰り返しなさいとも言われる。自分はずいぶんう上手になっていると思うが、同じような年代の周りの人も同じように上達している。このような年でも繰り返せば、うまくなるものだと感心している。

 もし、繰り返す力が頭脳の基礎能力である記憶力、計算力、理解力などに適用されたら、どうであろう。S字を一からやり直すこともない、これこそS字S字の積み重ねではないか。多分、頭脳は訓練すれば、体力程は衰えないのではないか、逆に通説を上回って成長するのではないか思う。今からでも遅くない、頭脳の基礎能力を向上させていこうと考えている。
(能力開発 次回は英語力)

2014年2月5日水曜日

能力開発(1)  はじめに


能力開発(1) はじめに


 会社時代、能力や能力開発について考えたことがなかった。定年退職してから6年、人の能力と能力開発についていろいろ考え始めた。
 定年退職時、学生時代に理解できなかったこと、会社時代に感じた疑問などが、頭のなかで、くすぶっていた。急にできた時間を使って、それなりに勉強した。勉強が楽しいと初めて感じた。大学生の時より勉強をした。数十年間、頭の中で消えなかった疑問がいくつも消え、すっとした。なんで昔、勉強しなかったのかと悔やまれたが、今さら悔やんでもしかたがない。平均寿命まで生きるとしたら、未だ、先は長いと思い直し、いままで全く勉強したこともない分野もいろいろ調べた。本棚にはたった2年で三十数年の会社時代に買った本より多くの本が並んだ。勉強の成果が実感でき、楽しかった。

 しかし、途中からいろいろやっている割には成長が感じられなくなった。運動でいえば、最初どんどん上手になっていたのに、途中で進歩しなくなったという感じである。  運動選手をみていると、野球選手にしても、サッカー選手にしても、野球やサッカーの練習以外に心肺機能の強化や筋肉トレーニングなどを行っている。最近では体幹を鍛える運動が流行っている。運動選手の基礎体力を鍛えるトレーニング手法は、日進月歩で進化しているように見える。

 自分に成長が感じられなくなったのは、頭脳の基礎能力が不十分だったり、衰えてきたりしているのではないだろうか、頭脳の基礎能力にも目を向けて、それを鍛える必要があるのではないかと思い始めた。 頭脳における基礎能力の開発は、最近あまり注目されていないように感じる。少なくとも運動の基礎能力ほどは、検討されていない。頭脳の基礎能力としては、記憶力や理解力、計算力などがあげられる。

 これらの頭脳の基礎能力とその開発についていろいろ考えてきたので、これからそれらを書いていきたい。私は別にこれらの基礎能力開発に長けているわけではないので、これを読んでおられる方は、私のこれから書くことをヒントにして、自分なりに考えられることをお勧めする。
 頭脳の基礎能力開発は、幼少期、青年期、壮年期、老齢期と全ての年令において有効であり、絶大の効果があると思う。というのは頭脳の基礎能力はどんな分野で働いていても共通な基本能力であり人間が生きていくのに重要な能力であるからである。

 小学校からずっと勉強している、更に社会人になってから仕事の本以外にもノウハウ本をたくさん読んできたと云われるだろうが、勉強やノウハウ本に書かれているものと頭脳の基礎能力開発は似ているようで少し違う。勉強してきたことやノウハウ本に書かれていることは、自分が置かれている環境や立場、仕事が変わると役に立たくなることもあるが、開発した頭脳の基礎能力は生涯ずっと有効である。
(つづく)

2013年11月3日日曜日

地球温暖化メカニズム考察(10)


地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2

地球温暖化メカニズム考察(10)-先カンブリア時代の気候変動2


 地球全体、まるごと凍ってしまう、南極・北極はもちろんのこと赤道まで氷に覆われてしまう、そのような状態を全球凍結という。全球凍結が実際に、この地球で起きたことがある。

 全球凍結の可能性は1992年に発表され、1998年ハーバート大ホフマン教授が全球凍結を証明する調査結果を発表、その発表は反響を呼び、以降、研究が重ねられ、現在、以下のように考えられている。
 先カンブリア時代、少なくとも3回地球は全球凍結した。22億年前、7億年前、そして6億年前。全球凍結では、地表温度は-50℃に、氷の厚さは1,000メートルに達し、全球凍結期間は約1,000万年に及んだという。全球凍結の後、今度は逆に超温暖化状況になり、地表温度は+50℃になったとされている。

 地球全球凍結は、今まで述べてきた寒冷化スパイラルの極限状態であり、超温暖化は、温暖化スパイラルの究極の姿であると考えられる。

 寒冷化のトリガー(引き金)は、大気中のCO2の減少であり、温暖化のトリガーは大気中のCO2の増加である。全球凍結のトリガーとなったCO2減少は、どのようにして起きたのだろうか。超温暖化のトリガーとなったCO2増大はどのようにして起こったのだろうか。

 22億年前、7億年前の全球凍結に至ったときのトリガーは大陸分裂による大気中のCO2減少であったと考えられている。大陸分裂とはどういうことなのか。大陸分裂で何故CO2が減少するのであろうか。

 大陸分裂を説明する前に、大陸移動を説明しなければならない。大陸移動説は1912年Wegenerによって唱えられたが、長い間無視されていた。1960年代になって、大陸は海底にあるプレートと呼ばれる岩盤に押されて移動するということがわかってきた。プレートは海嶺と呼ばれる海底火山から噴き出たマグマで形成され、海底火山から継続的に噴火するマグマによって押されプレートは移動する。この移動するプレートに押され、大陸も移動する。このメカニズムはプレートテクトニクスと呼ばれている。

 1980年代になって、海底火山から吹き出すマグマは、地球内部の核から上昇したものであると云われるようになった。地球内部の核から上昇したマグマ(プリュームと呼ばれる)は、プレートを形成し、プレートは新たに地表まで上昇してくるプリュームによって押され移動する。

 現在の地球を例にして説明すると次のようになる。太平洋の真中より東よりに南北に海嶺がはしっている。この海嶺は、プリュームの上昇が引き起こす火山活動によってできた山脈である。海嶺を構成するマグマは地球の深部の核より上昇したものである。この上昇していくマグマはホット・プリュームと呼ばれている。地球内部から上昇したプリュームは、地表(海底)で東西に分かれ重いプレートになって、東側はアメリカ大陸を東に押し、西側はハワイ諸島や日本を西に押し寄せていく。 日本の火山は、地球深部から湧き上がるプリュームによるものでなく、地表近くのマグマだまりから噴出したものである。

 大陸を構成する岩盤は、堅いが、海底の岩盤(プレート)よりは軽い。このため、日本を西側に追いやろうとするプレートは、大陸と同じ岩盤を構成する日本列島にあたって沈み込んでいく。この沈み込んでいったプレートは、やがて地球内部の核に向かい、下降していく。これは下降プリュームとかコールドプリュームとか呼ばれており、このプリュームは核に吸い込まれていく。核中のマグマは、流動しており、核からは、マグマがホット・プリュームとして、地表に上昇、海底火山から地球の表面(海底)にでていく。

核 → 上昇プリューム → プレート → 下降プリューム → 核

 このような大循環が形成されている。この大循環メカニズムをプリュームテクトニクスという。この大循環の周期は数千万年といわれている。

 大循環は、大陸移動を引き起こすだけではない。大陸を合体させたり、大陸を分裂させたりする。
 現在、地球には5大陸があるが、地球46億年の歴史の中での大陸変動は以下の様に考えられている。
 
 地球上に一つの大陸のみ、そのような大きな大陸は超大陸と呼ばれるが、そのような超大陸ができては分裂していった。全球凍結が起きなくなった約5億年前から現在に至る間には1回、恐竜が闊歩していたころバンゲアという超大陸があり、その後、分裂し、現在の5大陸になった。
 40億年前から5億年前の間には、数回、パンゲアのような超大陸ができては、分裂していったと考えられている。

 超大陸の分裂時に起きる化学反応が全球凍結のトリガーとなったと云われているが、その化学反応に言及する前にプリューム大循環で定常的におきている化学反応の概略を示す。

 海嶺(海底火山)から、プレートとなるマグマが流れ出るとともにCO2を吹き出す。各種金属も噴出し、海水中でイオンとなる。CO2は、海水H2Oと反応し、炭酸水素イオンHCO3-となる。

 岩石の風化によって、岩石から金属が分離し、雨・川によって、海水に金属イオンが流れ込む。火山からでてきたり、風化・浸食でできたりした海水中の金属オンが炭酸水素イオンと結合して炭酸塩岩となる。この炭酸塩岩はプレートの一部となり、プレートと一緒に旅をすることになる。プレートは大陸とぶつかり、大陸の下にもぐりこんでいく。このとき炭酸塩岩は圧力を受け、大陸中のSiO2と結合するなどして変質する。

 この変質した岩石を含んだプレートは、下降プリュームとなって地球の核に向けて下降し核に吸収されていく。下降プリューム中の岩石は核の中で分解され、マグマはCO2ガスを含んだマグマとなり、核の内部を移動する。核中のマグマは、いずれ上昇プリュームとなって地表の海嶺にむかって進む。そして、マグマと一緒にCO2が放出される。これがプリューム大循環で起きる化学反応の概略である。図中に化学式の一例を示している。

 プリュームテクトニクスによると大陸移動によって、大陸が合体し、超大陸ができる。そのできた超大陸にプリュームが上昇し、大陸が分裂を始める。近年の研究では、約2億5千万年前には、超大陸の下からスーパープリュームと呼ばれる巨大プリュームが上昇して、大陸が分裂していったとみられている。超大陸ができると必然的に大陸をめがけてプリュームが上昇するのか、その時のプリュームはスーパープリュームなのかなどの疑問は残るが、いずれにしても超大陸ができては、分裂していったと考えられている。

 下図に2億5千万年前に大陸分裂に至ったスーパープリュームの概念図を示す

 大陸が分裂すると、寒冷化が起きる。そのメカニズムを以下に説明する。
 太古の地球では、大気中はN2とCO2が支配的である。海の中にもCO2が溶けHCO3-イオンになっている。大陸分裂により海と陸地の境界線が増える。境界線が増えると陸地に雨が降りやすくなり、陸地の浸食が進む。その結果、陸地の風化で生じた金属が海の中に多量に溶け出していく。この多量に溶け出した金属イオンが海水中の炭酸水素イオンと結合し、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどの炭酸塩岩となる。 海水中から炭酸水素イオンHCO3-が多量に減ると大気中から海中にCO2が溶けていき、減った炭酸水素イオンを補充する。このため、大気中のCO2が減る。大気中のCO2が急に減ると、これが寒冷化のトリガーとなって、寒冷化スパイラルに突入する。

 H2OとCO2のペアは、温暖化するときは温暖化を加速させるが、寒冷化する時は寒冷化を促進する。金属イオンが多量に海水中にある場合、温度が下がれば海水中のCO2許容量が増え、金属との化学反応がさらに進み、寒冷化スパイラルを更に促進させる。寒冷化を抑制する要因がないと、極限状態にまで、寒冷化し、そして、地球全球が凍結していく。


 全球凍結のあと、どうして全球凍結から解放されたのだろうか。大気中のCO2が増大し始めたとしたのであれば、どこから大気中にCO2が供給されたのであろうか。

 全球凍結中も火山活動は続いており、CO2が少しづつ大気中にでていく。増えていった大気中のCO2が、今度は温暖化のトリガーとなって温暖化スパイラルがスタートする。

 炭酸ガスが増え始めると、H2OとCO2が、温暖化を加速させるという温暖化スパイラルに入いる。温暖化スパイラルを止めるものがなければ、超温暖化状態となる。

 約25億年前から5億数千年前の太古代では、全球凍結と超温暖化を繰り返していたかとそうではない。大陸分裂などの事件が起きないときは、風化作用が温暖化スパイラル及び寒冷化スパイラルを抑制していたと考えられている。

 温暖化が進むと風化作用が活発となり、大気中のCO2が消費され、温暖化を抑制し、寒冷化スパイラルのトリガーとなる。地球が寒冷化し、風化が減少する。火山活動によるCO2増加が風化によるCO2減少を上回ると、地球が温暖化し始める。このようにして全球凍結や超温暖化が避けられていると考えられている。(下図参照)


 3回は繰り返したと考えられている全球凍結と超温暖化は、地球上の生命誕生に大きく影響したと考えれており、この生命誕生ストーリーは研究者のみならず多くの人の興味をひいていることは想像に難くないが、その解明には未だ多くの時間が必要であろう。
 現在、確かなのは如何に述べることである。

 22億年前の全球凍結に続く超温暖化が起きたとき、大気中の酸素が増えている。6億年前の全球凍結及び超温暖化が終わったときには、大気中の酸素が急増していた。これはシアノバクテリアと呼ばれる光合成を行う藻が大繁殖したためと言われている。シアノバクテリアは、大気中のCO2を吸収して、光合成を行い、酸素をだす。6億年前の超温暖化を解消したのはシアノバクテリアによるCO2吸収だとも言われている。

 シアノバクテリアによる光合成には、すざましいものがある。大気中に大量にあったCO2を吸収・分解し、大気中にほとんど存在しなかった酸素をほぼ現状までの濃度にした。それだけではない。海中に溶けている鉄イオンを酸化させ酸化鉄にした。現在、地球上にある酸化鉄はほとんどこの時代にできたものだという。つまり、この時代以降、酸化鉄はできていない。地球上のほとんどの鉄をこの時代に酸化させたことになる。
 このことは、少なくとも3回全球凍結が起きた原生代(25億年前~5億数千万年前)には海にたくさんの金属イオンが溶けており、それが炭酸水素イオンや酸素と多量に化学反応していたことを示している。
 原生代の全球凍結と超温暖化の繰り返しは、5億数千万年前に起きるカンブリア爆発と呼ばれる多種多様生物の発生の礎になったのではないかということで、研究が進められている。

 カンブリア爆発以降、海嶺の火山からでてくる金属イオンのうち、特にCaイオンは生物によって消費される。

 ここで、強調したかったのは、気候というものは非常に不安定なもので、寒冷化スパイラルや温暖化スパイラルが起きやすいものである。原生代でおきた全球凍結と超温暖化は、寒冷化スパイラルや温暖化スパイラルのかっこうの実証例ではないかと考えられる。

 この寒冷化スパイラルや温暖化スパイラルは、原生代(25億年前~5億数千年前)特有のメカニズムではなく、現在にもあてはまるメカニズムである。

 原生代のシアノバクテリアと呼ばれる藻は、大気の状態を一変させ、カンブリア爆発と呼ばれる多種多様な生物の発生を引き起こした。そして、カンブリア爆発以降、地球には生物があふれかえった。あふれかえった生物が大気の状態や気候に大きな影響を与えたと考えるのは、普通の発想ではなかろうか。

 ここで掲げた全球凍結や大陸移動・集合・分裂は、数々の出版本やインターネット情報で調べることができる。
 全球凍結、及び、プリューム・テクトロニクスは、ここ十年とか二十年という、地学の世界では最近といえる時間レベルで市民権を得た学説であり、ホットかつ研究が進行中の話題である。全球凍結や超温暖化は、生命の起源にも関係する研究でもある。プリューム・テクトニクスは今後の地球の地殻変動予想とも関連しており両方とも興味深い研究テーマである。

2013年8月7日水曜日

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地球温暖化考察


地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない<
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?>
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2

PPTマクロ


PPTマクロ(4)、マクロで四角形や楕円などを描く
PPTマクロ(3)、マクロで直線を描く
PPTマクロ(2)、マクロを有効化する
PPTマクロ(1)、マクロ作成の動機

幾何学模様


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2013年7月29日月曜日

地球温暖化メカニズム考察(9)


地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない<
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?>
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2

地球温暖化メカニズム考察(9)-先カンブリア時代の気候変動


 5億数千年前より、更に前の時代である先カンブリア時代には、生物が量質ともに少なく、この時代の気候変動は、生物の影響を無視できる。逆に言えば、この時代の気候変動と生物が旺盛な顕生代の気候変動を比較することにより、気候に対する生物の影響をクローズアップできる。


 生物の影響を無視できると考えられる先カンブリア時代の気候の研究が進み、10数年前から定説になってきている出来事がある。それは、先カンブリア時代に地球が全面凍結したことである。北極南極はもちろんのこと赤道地帯も凍ってしまう地球全球凍結である。その地球全球凍結が、先カンブリア時代に少なくとも3回起きたと考えられている。
 全球凍結後、地球は逆に超温暖化したとみられている。全休凍結の起因は何で、何が起きて地球全球凍結に至ったのであろうか。地球の超温暖化は、何が起因で何が起きたのだろうか。これらの地球全球凍結や超温暖化は、何千万年にわたって徐々に起きたと考えられている。


つづく。

その他、シリーズも書いています。 ブログ「dousube」検索画面より検索下さい。

2013年4月28日日曜日

地球温暖化メカニズム考察(8)


地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない<
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?>
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2

地球温暖化メカニズム考察(8)-46億年地球史概略


 地球は46億年前にできたと云われている。
 地球ができてから、現在までの地球史を下図で概略する。


 地球ができたのは、約46億年前。この46億年はざっくり2つに分けられる。5億数千年前に多種多様な生物が質量ともに急増した。この急増はカンブリア爆発と呼ばれている。このカンブリア爆発を境に先カンブリア時代と顕生代に分けられる。つまり生物が旺盛な時代とそうでない時代で区分けされている。

 先カンブリア時代は、地球が火の玉であった冥王代と、地球は冷えて海ができたが、放射線と紫外線が降り注ぐ太古代、更に、バンアレン帯ができて放射線が減るも依然として紫外線が降り注ぐ原生代に分けられる。

 生物の隆盛は、カンブリア時代以降であるが、生物隆盛の土台は、先カンブリア時代の太古代および原生代を足し合わせた約35億年の間にできあがっている。原核生物は約38億年前に誕生したとみられている。真核生物の誕生が約30億年前、多細胞生物誕生は約10億年前、それから5億数千年前の多種多様生物出現・カンブリア時代となる。

 次回は、先カンブリア時代の気候変動を示す。

2013年4月25日木曜日

地球温暖化メカニズム考察(7)


地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない<
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?>
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2

地球温暖化メカニズム考察(7)-地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?


 前回まで、現在進行している温暖化のメカニズムを考察した。もし、植物による光合成活動がなければ、温暖化は、下図に示す如く、温暖化を加速する正のフィードのオンパレードである。
この図をみていると次の疑問が湧く。もし植物がなければ、温暖化はどこまで加速されるのであろうか。更に、もし何らかの原因でCO2が減少し始めたらどうなるのであろうか。

 まず、CO2が減少し始めたらどうなるか、考えてみよう。
 CO2が減少し始めたら温度が下がる。そうすると下図のように寒冷化の正のフィードバックが働くと予想される。 ここでも、類似の疑問が湧く。寒冷化はどこまで進むのであろうか。

 生物活動が、ほとんどない6億年以前の太古の気象にその答えがあるのでは、ないか。又、生物が出現したあとの太古の気候変動はどの様に説明されているのか、どの様に考えられればよいのか、現在、人類起因と云われている温暖化を考察する上で検討すべき重要テーマであると考える。

 次回は地球ができてから現在までの地球史をおさらいしてみる。