2014年8月1日金曜日

地球温暖化メカニズム考察(11)

地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2
地球温暖化メカニズム考察(11)、先カンブリア時代の気候変動3

地球温暖化メカニズム考察(11)、先カンブリア時代の気候変動3


先カンブリア時代(5億4千万年以前)のおさらい
  1. 大気中のCO2分子とH2O分子は、 太陽光に対して共振する。 共振したギターの弦に音がこもるように地球の大気に熱がこもる。 このため、 大気中のCO2分子とH2O分子の量が、 地球の温度を決める。
    今までに述べてきたように大気中のCO2が増え始めると大気中にH2OとCO2が更に増え、 地球の温度を益々上げる。 大気中のCO2分子が減り始めると大気中のCO2分子とH2O分子が更に減り、 地球の温度を益々下げる。 このため、 生物の影が薄い先カンブリア時代には、 何度か地球全体が凍ったり、 逆に地球全体が超温暖化状態になったりした。 地球全体が凍る現象は全球凍結と言われている。

  2. 大陸は離散・集合を繰り返す(下図参照)。 現在の地球は、 5大陸に別れているが、 2.5億年前にはパンゲアと呼ばれる超大陸があった。 その前は、いくつかの大陸に別れていた。 その前は、 コンドワナと呼ばれる超大陸があった。 そして、その前も・・・・。
    大陸が分裂するときは大気中のCO2分子が海に吸収される傾向にあり、 大陸が集合するときは、 CO2分子が大気中に放出される傾向にある。 大気中のCO2の増減が、 ある時は全球凍結の引き金となり、 ある時は超温暖化の引き金になった。 又、 ある時には全球凍結からの脱出の役割を果たし、 ある時には超温暖化からの脱出の役割を果たした。 更に地球温度の安定化の役割を果たすときもあった。

    地球の離散や集合サイクルは数億年である。 地球の温度が大きく変わる期間は、 それよりは短い。 例えば全球凍結が継続した期間は数千万年と言われている。

  3. 太古の地球の大気には、 多量のCO2分子があった。 大陸には多量の単体金属が存在した。 大陸が離散集合を繰り返す間、 多くの金属イオンが海水中で炭酸イオン(HCO3-)と結合して炭酸塩岩となった。 海水中の炭酸イオンの消費は、 大気中から海中へのCO2の溶融を引き起こし、 CO2の大量消費つながる。 大気中のCO2分子の大量消滅は、 当然ながら全球凍結の大きな原因であり、 超温暖化からの脱出をも可能にした。

    CO2の消費はこれだけではない。
    38億年前に原始的な原核細胞と呼ばれる原始的な細胞をもつ原核生物が誕生した。 やがて光合成を行う原核生物である藍藻が現れた。 この藍藻による光合成活動で大気中のCO2が消費されO2が発生した。 このO2は先ずFeの酸化に使われた。 このとき地球上のFeほぼ全部を酸化したと言われている。 Feの酸化が終わったあと大気中にO2が増えていった。 この藍藻の光合成活動は、 超温暖化からの脱出にも寄与したと推定される。

    先カンブリアの時代、 原生代(40億年~5億4千万年)の初期に誕生した原核生物(単細胞)は、 真核生物(単細胞)に進化し、 さらに多細胞生物に進化していった。 30億年以上かけて、 自然は、現代科学が解明しきれていないほど複雑で高機能な生物の基礎となる細胞を作り上げていった。
    又、 原核細胞である光合成藍藻によって、 地球の大気に、 生物にとって重要なO2分子が大気中に供給された。 そしてカンブリア爆発と呼ばれる生物の大爆発が起きる。

こうして、 先カンブリア時代の出来事を要約してみると、 にわかに信じがたいことの連続である。 ここに述べたことは、 昔からわかっていることではなく、 ここ20~30年の間の研究で明らかになったことが多い。

 寒冷化は更なる寒冷化を呼ぶ、 温暖化は更なる温暖化を呼ぶ。 このサイクルは正のフィードバックと呼ばれている。 全球凍結や超温暖化は、 正のフィードバックの結果であり、 気候は本質的に不安定な要素を持っているという確証である。
多くの地学や気象・気候の本で、 この正のフィードバックが記述されている。 が、 記述されていない専門書もあり、 まだ十分に認識されているとは言い難い。 これは正のフィードバックの研究がまだ不十分なせいでもある。 国際機関である気候変動に関する政府間パネルIPCCもやっと最近になってやっと、この正のフィードバックに関する言及が増え始めた。

 現在の地球温暖化は過去に例のない猛烈なスピードで進んでいる。 既に猛暑、異常気象と言う形で生命を奪う災害を引き起こしており、 食料生産にも影響を及ぼしている。 温暖化防止の観点からも、温暖化を促進する正のフィードバックおよび温暖化を抑制する負のフィードバックをもっと研究・熟知する必要がある。 そして、 具体的で有効な温暖化抑制策を抽出し、 さらに周知することによって、やっと温暖化抑制策が確実に実行され、 機能すると考えられる。

 先カンブリア時代は、生物の影が薄い時代である。 しかし、光合成を行う原始的な原核細胞の藍藻が、地球上ほぼ全部のFeを酸化し、大気中に酸素を増やしていった。 生物の力、恐るべしである。 この生物、 原核細胞が進化し、 多細胞生物となり、生物の大爆発が起きた。 大爆発した生物は、一体どのように地球の気候に影響を与えたのであろうか。

 次回以降は、 生物が顕著になった顕生代について述べる。 顕生代は、生物の大爆発が起きたカンブリア紀から現在までをさす(5億4千万年前から現在)。

(参考資料)
・凍った地球 田近栄一著 新潮選書
・地球惑星科学2 地球システム科学 岩波書店
・地球惑星科学3 地球環境論 岩波書店
・地球惑星科学11 気候変動論 岩波書店
・地球学入門 酒井治孝著 東海大学出版会
・地球のしくみ 新星出版社
・最新地球史がよくわかる本 川上紳一・東條文治著 秀和システム 

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