ラベル 原発 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 原発 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011年6月30日木曜日

まともなエネルギー政策を

 危機管理および安全保障は国の最大の仕事である。将来想定される危機に対して、危機が起きないように、輸送面、技術面、経済面など様々な角度から検討し、長期的にも短期的にも適切な対策を施し、安全を保障する。このような国家の重要事項は、国民は方針や概略を知っていて、政党が変わっても大きく変わらないというのが本来の姿ではなかろうか。行わなければいけない危機管理、安全保障はいくつかあるが、エネルギーもそのなかの一つである。
 今回の原発事故で、国は電気エネルギーを極端に原発に頼ろうとしていたことを、国民が広く知ることになった。民主党が採った方策は、自民党も吃驚するほどの原発依存であった。
 本来なら、今回の福島原発事故を受けて、長期と短期にわたってエネルギー政策が再検討され、変更が公表されるべきである。が、政府の方針がはっきりしない。はっきりしないというより、再検討もされず、変更する気もない。
 日本の電力エネルギーは、国の保護のもと、一つの地域に一つの電力会社のみが存在し、電力の安定供給を行ってきた。国と電力会社が一体となり、一面では高度成長を支えてきた。しかしながら、政治家と官僚、電力会社の三つ巴の電力利権構造は強固になり、その強固ぶりは「鉄の三角形」といわれている。各国が地球温暖化対策やエネルギー自給率の向上に再生可能エネルギー比率を高めてくるなか、日本は電力利権構造に変更を迫る再生可能エネルギーの普及に消極的で、ことあるごとにその芽を摘み取ってきた。太陽電池が普及しそうになると補助を打ち切り、風力発電が伸びかければ、規制を強化した。
 電力に関する既得権益が如何に強固であるか、もと官僚の岸さんというかたが、TVタックルで話された。電力会社の傘下には、たくさんの企業がぶらさがっている。半国営の電力会社は値切ることをしらない。製品を納める企業からみれば、これ程有難い納入先はない。従って、電力会社は多くの「票」を持つ。多くの票と多額のお金が政治家にわたる。政治家と官僚は、電力会社を守るための法律を作り、電力会社に補助金を渡す。官僚は、多くの天下りポストを得る。
 地球温暖化対策では、再生可能エネルギーの強化、発電送電分離、スマートグリッド技術などが必要であるが、既得権益者は既得権益の保護を第一優先とし、変化を忌み嫌った。岸さんによれば、スマートグリッドという言葉を出すだけで東京電力は露骨に嫌な顔をして、そんなことをすれば、大臣の首が飛ぶよと脅していたそうである。結局、自分たちの権益保護と地球温暖化対策を兼ねる原発への大幅傾斜を決めた。エネルギー安全保障の観点から一つのエネルギー源に集中させるような国はどこにもない。異論を唱える人も反対する人も少なかった。危機意識の欠如は、日本全体を覆う平和ボケ、高度成長ボケのなせるわざであろう。
 今回の福島原発事故は、日本における電力エネルギー政策の横面を思い切り引張たいた。日本だけではない。世界的にブームになりかけていた原発開発に水を差し、ドイツ、スイス、イタリアは、「脱原発」を明確にした。温暖化対策に積極的でないと日本では言われている中国や米国ですら、再生可能エネルギーの急速な普及を図っている。更なる温暖化対策と経済発展の両立に、原発を進めようとしている。
 原発推進を明確にしているアメリカ、フランス、イギリス、中国、これらの国では危機意識と危機管理知識・能力を持ち合わせている。万全でないとしても日本よりはるかに優れている。中国は強烈な危機意識とえげつないと思えるほどの危機対策意欲を持つ。
 日本に住むアメリカ人が、どこかの番組で、アメリカの子供のほうが、日本の総理より、危機意識と危機管理知識を持っていると言っていたが、笑えない現実だと思う。
 このままいけば、電力エネルギー政策のすべてを握る政治家、官僚、電力会社が既得権益にしがみつき、エネルギー政策や方針を何も変えず、ほとぼりがさめるのを待って、現状の原発政策を強引に推し進めるのではなかろうか。
  
 長期的なエネルギー政策はどうあるべきであろうか。
2050年CO2排出削減80%は、国際的な合意事項である。いつどこで、大きな地震や津波が襲ってくるかもしれない国土に、危機対策に無能な政治家が君臨する日本では、原発はありえない。全面的に再生可能エネルギーへ移行すべきある。再生可能エネルギーへ移行すると、国際紛争の種である資源問題も、地球温暖化や大気汚染などの環境問題もクリアする。放射線被害や原発へのテロ攻撃を心配する必要もない。
 長期的なエネルギー政策として、ある時期に原発を全廃し、再生可能エネルギーを主力にすることを明確にすべきである。
 
 短期政策を考える前に、現状をみてみる。現行法律では、原発は13ヶ月以内の定期点検が必要であり、再開には知事の合意が必要である。現実的には、地元住民の合意も必要であろう。地元の合意が得られないとすれば原発は来年の5月に全廃になる。そしていま、節電ムード一色である。これでは、ますます日本経済全体が活性化を失い、沈んでしまう。
 経済産業省大臣が、原発の再稼働へ向けて、佐賀県にお願いにいっている。これでは、エネルギー政策は全く変わらない。既得権益者を保護する今迄通りの原発と化石燃料を主体としたエネルギーになる。現に、国際社会へ日本のCO2排出が今後増えると公表しようとしている。これではあまりに無策である。
 
 短期政策は、長期政策を睨みながら、現実的な対応になる。CO2排出削減に向けて、化石燃料技術も頑張っている。石炭火力発電における二酸化炭素の貯留・保存技術(CCS:Carbon dioxide Capture and Storage)や天然ガスを用いてガスタービンで発電し、その廃熱で蒸気タービンを回して発電するガスタービン複合発電(GTCC: Gas Turbine Combined Cycle )、石炭をガス化し、ガスタービン複合発電を行う石炭ガス化複合発電(ICGCC: Integrated Coal Gasification Combined Cycle)などの技術がある。
 今回の電力会社の節電要請に対し、CO2排出が石炭より少ないとされるガスタービンによる自家発電を検討している民間企業があり、太陽光発電や風力発電を導入しようとしている一般家庭がある。
 企業におけるガスタービンによる分散電源、企業と一般家庭における再生可能エネルギーの普及を促進する法整備が必要である。
 現在、実質的に発電と送電を電力会社が一手に握っている。発電は一般業者が参入できるようになっているが、一般業者の送電使用料金が高いため、発電を行う一般業者の業績が伸びず、依然として電力会社の独占状況にある。このことから、発電・送電分離がいわれている。分離すると一般業者も安い送電料で送電ができることから、まずこの発電・送電分離を行う必要がある。送電も自由化すべきであろう。送電は送電と配電とに分けて、いずれ両方とも自由化する。まずは配電の自由化が望ましいと考える。
 一般家庭の太陽電池には、余剰電力買い取り制度がある。これをヨーロッパ並みに企業の発電も含めて、すべての再生可能エネルギーに拡大し、全量買い取りにすべきといわれている。孫正義さんなどは、余剰電力の買い取り期間が現在の10年では短い。全量買い取り制度にして、期間を20年にして買い取り価格も、以前の余剰買い取り価格の48円/kWhに戻すべきと主張している。現在は42円/kWhである。
 現状の法律は、一見、再生可能エネルギーを推進しているように見せて、実に様々な制限をつけて、再生可能エネルギーの推進を骨抜きしている。いつもの官僚の自己権益を守るための涙ぐましい努力の賜物である。
 
 政府は、時期を明確にして、原発全廃を宣言すべきと考える。そうしないと何も変わらない。将来は全廃するとしても、当面、原発は必要とするというような表現では、変化が生まれない。何も変わらない。
 原発全廃時期は、ドイツのように10年先では無理があるとしても、40年先では間延びする。「2030年までに原発全廃と再生可能エネルギー大幅移行」を宣言し、関連法案を整備するというのはどうだろう。再生可能エネルギーの普及を手ぐすねをひいて、待っている企業はたくさんある。
 小さなエネルギーをこつこつ積み上げていく再生可能エネルギーも、不安定なエネルギーをきめ細かく平準化させて使うスマートグリッドも日本人にあっている。大きな雇用創出につながるし、地方活性化の切り札でもある。
 再生可能エネルギーの研究で日本は先端を走ってきた。政府は普及の努力はしなかったが、研究開発段階では予算をつけてきた。
 再生可能エネルギーの種類は実に豊富である。よく知られている太陽光発電や風力発電、地熱発電以外にも太陽熱発電、潮力発電、波力発電、マイクロ水力発電、温度差発電、塩の濃度差発電など多種多様である。バイオ発電もいろいろある。ごみ発電に、糞尿発電、間伐材からつくるチップ発電などがある。日本での再生可能エネルギーの普及は電力利権構造が強いため、世界にかなり出遅れている。全量買い取り制度などの法改正や規制緩和などで再生可能エネルギーの普及にトリガーがかかれば、かなりの速度で日本は変わっていくと予想される。
 つなぎのエネルギーとしては、比較的CO2の排出量の少ない前述のガスタービン複合発電や石炭ガス化複合発電などが有望である。

 日本近海にはメタンハイドレードという化石燃料が多量に埋まっている。つなぎのエネルギー源として、この活用も考えるべきではなかろうか。このガスでガスタービン複合発電であれば、CO2排出もある程度抑制できるのではなかろうか。
 無駄の削減による無理のない節電やLEDに代表される省エネ技術も有効である。
 様々な手を打って、それでも電力がどうしても足りないということであれば、期限を限定して原発も止む無しとなるであろう。そのときは、将来の地震強度予想や原発の老朽度などから判断して、安全性の高い原発だけを再稼働することになるだろう。
 
 今回の福島原発事故は、誠に不幸な出来事であるが、これを契機に電力会社による独占支配と利権構造が崩壊し、再生可能エネルギーが普及することを祈って止まない。
 福島原発事故は世界を震撼させた事件であるにもかかわらず、政治家、官僚、電力会社からなる電力利権の「鉄の三角形」は、相当に強固であり、変わる気配がない。
 しかし、変わらなければ、再生可能エネルギービジネスは世界中で急拡大しており、この最大のビジネスチャンスを失うことになる。
 
 戦後、マッカーサーが日本人の精神年齢は12歳以下だと馬鹿にしたそうである。今、一般のアメリカ人から日本の総理の危機意識、危機管理知識はアメリカの子供以下だと馬鹿にされ、それに納得する我々がいる。利権亡者で、政争にのみ明け暮れする政治家に危機管理や将来ヴィジョン、まともなエネルギー政策を期待するのは、どだい無理があるのかもしれない。
 地球温暖化対策では、政府のかなり先をいく、多くの自治体がある。多くの企業が新しい時代へ向けて、様々な準備をしている。そして多くの国民が自分の意見が言えるネット時代がきている。時間がかかるかもしれないが、国民一人一人が自治体や企業、NPOやボランティア団体などを通して、ボトムアップ的に政治のレベルアップを図っていく必要があるのではなかろうか。

2011年4月24日日曜日

原発の全廃、再生可能エネルギー全面移行を


 先日、英語の勉強にと思って、テレビでCNNのニュースを見ていたら、日本の電力に関する話に移った。円グラフがでた。2020年の日本における再生可能エネルギーは3%。 それに対して、ドイツの2020年の再生可能エネルギーは、40%以上 と言っていた。 キャスターは、やおら古い電卓を手にした。シャープという言葉が聞き取れた。これはシャープの太陽電池付き電卓である。古くから技術を持っているのに、何故、再生可能エネルギーは、少ないのか。ドイツのように再生可能エネルギーに移行すれば、原発はいらないのでないか。英語そのものは聞き取れなくても確かにそう言っている。5分足らずで違う話題に移っていった。
 日本の電力に占める再生可能エネルギーは2009年1.1%、ドイツのそれは2009年16.1%。
 日本の電力に占める原発は、2009年29.2%、2019年41.0%予定。
 
 日本の電力における再生可能エネルギーは、現状ほぼ1%で、10年経っても3%。これでは誰がみても、日本政府は再生可能エネルギーなんか ”さらさら” やる気はない様に見える。口ではいろいろ言っても、数値がその気がないことを明確に物語っている。CO2排出削減が世界的に謳われると、再生可能エネルギーには見向きもせず、ここぞとばかりに原発の増設を計画したようにみえる。 現状、54基に対して、計画では2030年までに14基増設される。これでは外国メディアに指摘されるまでもなく、おかしい。なにかあると疑いたくなる。

 以下は、私の邪推である。
 政治家と企業と官僚が、癒着している。おいしい天下りがたくさんある。政治家も甘い蜜をたっぷりと吸っているに違いない。どんなからくりになっているのだろうか。
 発電コストを調べてみると原発でつくる電気が、一番安い。多分、原発を廃炉にする費用や使用済み核燃料の処理費用、開発費用などは含まれていないだろう。更に、今回のような福島原発事故の処理費用は入っていない。
 最初、電気料金が設定されたときは、原発は未だ存在しておらず、火力や水力の発電費用で計算されているはずである。そこに安い原発が入ってきた。どうなるか。市場の自由競争になっていない電力会社は電気料金を下げない。多大の利益がでる。政府は黙認する。
 どれだけの利益アップとなるか簡単に計算してみよう。火力や水力などの発電コストと原発の発電コストの差は~5円/kwh。日本に原発は54基、1基あたりの発電能力は0.9GW=900,000kw。原発の稼働率を70%とする。
 年間の利益アップは、
 5円/kwh x 54基 x 0.9GW/基 x 24h/日 x 365日/年 x 70%=1.5兆円/年
となる。
 原発が40年間続けば、60兆円。電力会社はおいしいし、官僚も政治家も黙って指をくわえていない。本来なら日本全体の了承がいるはずの原発の新設を、市町村とだけ交渉し、多額な交付金を餌に、了解を得る。了解を得たら、最後、ここぞとばかりにできるだけたくさんの原子炉を詰め込む。福島では第1、第2を合わせて10基、柏崎刈羽では7基、安全性は、どこかにすっ飛んでいる。安くできれば、できるほど利権は膨らむ。
これが、私の邪推です。

 邪推はさておき、安全性に関しては、地震や津波以外にテロをも考慮すべきである。相応の出費が必要であるのに「安全神話」が歳出を抑制した。使用済み核燃料に関しては・・・、これは厄介である。破棄と再利用という二つの選択肢がある。再利用は、使用済み核燃料を再処理して、もう一度だけ使用する方式と「核燃料サイクル」として、何度でも使う方式がある。破棄する場合は、使用済み核燃料を水冷する中間処理と、そのあと空冷し、地球深く埋め込み、コンクリートで固めるなど最終処理をする必要がある。
 日本は再利用をメインストリートとしている。しかしながら、一度だけ再処理して使うための再処理工場は、遅れに遅れて2年後完成予定で、現在はフランスに再処理を委託している。何度でも使う方式は、現在の核兵器に使われるプルトニウムが主体であり、冷却に金属ナトリウムを使うなど、危険きわまりない。そのため、ほとんどの国が開発を中止している。
 福島原発の事故処理で先行きが見えないなか、その実験炉である「もんじゅ」の再開をどさくさに紛れて、福井県知事が了承し、実質的に再開が決まった。この技術は順調にできたとしても実用化は2050年である。危険きわまりないといわれる技術の実験炉が、国民の目に隠れるかのように、こっそりとスタートOKになった。又、心配の種が一つ増えた。
 使用済み核燃料の再利用をあてにしていることから、破棄はおざなりになっている。使用済み核燃料を冷却するプールが満杯に近づいている。ましてや、最終処理は目処すらたっていない。
 破棄も再処理も先が見えていないのに、単に、日本の技術はすばらしい、日本の技術はどこよりも勝っているという単なる「技術神話」だけがある。きちんとはじきだせば、原発のコストは、非常に高くなると予想される。
 「安全神話」と「技術神話」が一人歩きし、原発の発電コストが、「安く」「安く」なっている。政府は、これら「神話」の最も熱心な信奉者で、CO2排出削減を格好の理由とし、国民の生命を賭けて、原発を推し進めてきた。

 今回の福島第一原発の事故を受けて、ドイツやイタリアはいち早く、建築中の原発をキャンセルした。ドイツは更に1980年以前に建築した原発7基を3ヶ月稼働停止にし、安全点検に入った。中国は重慶市と湖南省の原発建設プロジェクトを凍結した。インドやタイは原発建設計画の見直しにはいった。しかるに日本は原発政策の継続を表明した。そして、CO2排出削減の目標達成が無理だと表明した。まちがいなく国際社会にとって日本は不可解にうつっている。世界の空気が読めていない。CO2排出削減は、国際会議での駆け引きで一見、消極的にみえる米国や中国でさえ、温暖化に対し、強い危機感を持って取り組んでいる。再生可能エネルギーに多くの力を注ぎ、更にCO2排出を減らすために原発を推進しようとしている。そのようなかで、早々とCO2排出削減の目標達成は無理だと表明することは、世界の流れを理解していないことを自ら証明したようなものである。来るべき社会は、再生可能エネルギーを主体とした低炭素社会である。各国政府も各国国民もそれを見据えている。日本はそうではない、温暖化問題を軽視しているように見える。このままでは次世代社会に大きく乗り遅れる。

 いずれにしても、時代が変化するとき、その時、利権を持っている組織や人々が最大の抵抗勢力になる。世界が再生可能エネルギーへ向けて、大きく舵をとっているとき、日本では電力会社と政府や政治家が大きな抵抗勢力になっている可能性が高い。

 再生可能エネルギーは、まだコストが高いとか、不安定な電力をコントロールするスマート・グリッド技術が未熟であるなどの問題も残っているが、数々のメリットを有する。
  1. 地球温暖化の元凶である二酸化炭素を排出しない。
  2. 化石燃料が排出するSOX(酸化硫黄物)やNOX(酸化窒素物)のような汚染物質をださない。
    各国ともエネルギーの自給率をあげることができる。
  3. 古今東西、エネルギーを巡って国際紛争が絶えないことから、自給率向上は、国際紛争の低減に寄与する。
  4. 雇用を促進する。
    風力、太陽光、太陽熱、地熱、潮力、波力等々バラエティに富んでいる上、小型分散型であり、スマート・グリッドも様々な手法があるなど、雇用は多い。
  5. 小型、分散であることから、自然災害に強い。
    個々の装置単位でみると、災害に弱くても、災害が起きたとき、多くの装置が無傷で生き残る可能性が高く、全体でみると災害に強いと言える。
  6. テロや人災に強い。
    小型・分散システムは誰も襲おうとは思わない。ミスや故意で人災があったとしても、小型・分散システムでは被害が軽微である。
  7. 地方の活性化につながる。
     

 きたるべき社会は、間違いなく、再生可能エネルギーを主体とした低炭素社会である。日本が、そのような社会を目指すことを表明し、努力すれば、国際社会も日本の復興を今後とも支援し続けるであろう。そして、原発が無い世界を実現し、広い土地がありながら、わざわざ地震地帯に原発を建てている中国や、日本と同じような地震多発地帯であるフィリピンに原発がなくてもやっていけることを示すべきだと考える。

 もし、日本が原発推進を今後も継続すれば、国際社会からは不信感をもたれ、近隣諸国からは白い目でみられるだろう。万が一にでも、再度、原発事故を起こせば、日本は国際社会から見下されるだろう。そして、今は、米軍が援助以外にも警備の役割を意識的に担っていると言われているが、そのような援助もなくなり、抜け目のない近隣諸国から蹂躙されるだろう。

 身近な人も含めて、多くの人が、原発を捨てて、再生可能エネルギーへ移行すべきだと言い始めている。しかし、抵抗勢力は、上述したように、かなり強力である。かなりの決意を持って、抵抗勢力を押さえ、原発を全廃し、再生可能エネルギーに移行すべきと考える。

(参考)
ドイツの再生可能エネルギー情報 (2000年~2009年)
http://en.wikipedia.org/wiki/Renewable_energy_in_Germany

日本の2010年エネルギー白書
http://www.enecho.meti.go.jp/topics/hakusho/2010energyhtml/2-1-3.html

2011年4月14日木曜日

日本に原発はあってはならない


 日本に原発はあってはならない。そう確信している人、よくはわからないが、原発に不安を感じ、原発はないほうがよいと思う人、原発はないにこしたことはないが、エネルギーや経済を考えればしかたないという人、いずれにしても個人個人に密接にかかわるエネルギーや安全に関する大問題である。そして、今後どうするか、一人一人に投げかけられる問題であり、いずれそう遠くないときに、日本全体として答えを出さなければならない問題である。
 
日本における原発を考えてみる。

  1.地震大国でありながら原発大国であり、計り知れないリスクを抱えている。

 日本は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートと4つものプレートに隣接もしくその上にあり、地震の巣の上と言われるほど地震が多発する地震大国である。 そして、狭い国土に多くの人々がひしめきあって暮らしている。(国土面積61位、人口9位、人口密度5位) このように人口密度の高い狭い国に54基もの原子力発電がある。(原発保有基数3位)
 近年、世界的に大地震が頻発しており、日本でも確かに増えていると感じさせられるものがある。 人々の記憶に残っているであろうと推察される最近の地震をあげてみる。 1993年奥尻島地震M7.8、1995年阪神淡路大震災M7.3、2000年鳥取県西部地震M7.3、 2004年新潟県中越地震M6.8、2007年新潟県中越沖地震M6.8、今回の2011年東日本大震災M9、続いて起きた長野県北部地震M6.7。
 地震学者は口を揃えて、東海地震、南海地震、東南海地震が、そう遠くない将来に必ず起きると予測している。 大地動乱の時代と呼ぶ地震学者もいる。 4月8日の日経新聞は、「東海、東南海、南海の3つのプレート型地震が連動して起きると、宮崎県沖の日向灘でも地震が同時発生して巨大地震となる恐れがあることが7日、文部科学省の研究プロジェクトの成果でわかった。想定4地震の断層は長さ700キロに達し、マグニチュード(M)9クラスの巨大地震になる可能性もある」と報じた。

 日本の原発は、ほとんどが老朽化している上に、一カ所に原子炉が集中している。若狭湾では14基、福島は第一と第二を合わせると10基、柏崎刈羽原発は7基である。福山第一は6基で、集中していることの危険性は、大震災後のTV報道をみれば、一目瞭然である。 更に、原子炉建屋の最上階で、使用済み核燃料が水冷されている。使用済み核燃料を原子炉のすぐそばに置くことの危険性も、連日の報道から誰の目にもあきらかである。

 いずれにしても、最も危険な場所(世界トップクラスの地震多発地帯)に最も危険なもの(原子力)が、最も危険な方法(原子炉の集中と原子炉建屋内での使用済み核燃料の保管)で設置・配置されている。

2.見通しのくらい使用済み核燃料の処理

 原発は、核燃料の核分裂でエネルギーを得て、発電を行っている。 核燃料ウランは分裂して、大きなエネルギーと放射線をだしながら、元とは違う物質(セシウムやヨウ素など)になる。 このときのエネルギーが大きいので、効率の良い発電として使われる。
 核分裂を終えた核燃料が使用済み核燃料である。これがやっかいである。今度は分裂ではなくて、放射線を出して違う物質になりながら、崩壊する。崩壊エネルギーは高くないので利用されることはない。とはいえ、崩壊は、核分裂生成物によっては数万年にもおよぶ非常に長い期間にわたり、放射能と崩壊熱を出し続ける。意図しないのに再度、臨界点を超えて核分裂を開始する可能性があるので、冷やし続ける必要がある。現実的には、長期にわたる水冷で、ある程度冷やす。その後は空冷で冷やす。そして温度が充分下がったことを確認して、ガラス化するなど固化して、地下深く埋め込む。このようにして廃棄するには約10年はかかると言われている。

 別途、方策として、使用済み核燃料を再処理して、再度使える様にする方法がある。繰り返して、使用することができれば、核燃料の問題は、大きく改善される。フランスは、使用済み核燃料をもう一度生き返らせる再処理技術を持っている。この技術でできた核燃料がいわゆるMOX燃料である。このMOX燃料は既存の原子炉で使うことができる。日本は、この再処理をフランスに依頼し、MOXを作ってもらい、輸入して浜岡原発や福島第一原発の一部で使っている。 

 使用済み核燃料を何度でも繰り返し使う技術は、どの国も実用化できていない。 日本はこの技術がいずれできることをあてにして、使用済み核燃料を原子炉のそばで水につけて保管している。廃棄する方策はとっておらず、当然その技術は進展していない。使用済み核燃料の保管スペースに余裕がなくなって、密度をあげて保管されているので、危険度は増している。(昨日、4月13日発生、福島第1原発4号機の異常原因) 

 日本の再処理技術は、未熟で再処理工場建設計画は、ほぼ20回にわたる延期を繰り返し、建設予算の見積もりもどんどんあがり、今では2兆円以上になっているとのことである。今の計画では2年後にできることになっている。
 何度でも繰り返して使う技術も検討されている(もんじゅと名付けられた原子炉で実証実験の予定)が、これも遅れに遅れて、こちらは見込みすらたっていない。   使用済み核燃料を廃棄する方策は、全くと言っていいほど進めておらず、本命とされる核燃料を繰り返し使う技術は遅々として進んでいない。 一方で使用済み核燃料はどんどん増えていっている。
 外国はどうか。日本ほどひどくはないが、悩みは共通しており、外国に頼ることもできない。(わずかにMOX燃料は、フランスに頼っている) 使用済み核燃料の最終廃棄場所は米国もロシアも用意できていない。

 日本における使用済み核燃料は、逃げ道(廃棄)もなく、前方(繰り返し使う技術)も塞がっており、追っ手(使用済み核燃料の増加)がどんどんせまっている、という状況である。逃げ道に対しても、前方に対しても、日本には技術がある、日本の技術はすばらしいという、現実とはかけはなれた「技術神話」がまかり通っており、お寒い現実を覆い隠している。

3.日本には危機意識が欠乏しており、ましてや危機管理意識はない。日頃からほとんど考えていないので、重大事故発生時の対策は付け焼け刃で、後手かつ不十分

 日本は、明らかに、今でも平和ぼけ、高度成長ぼけから抜け出せていない。 このところ近隣諸国から頬っぺたに平手を食らわされて、わずかに変わってはきているが・・・。
 いくつもの危機が、日本を、そして、世界を襲っているが、日本はあまりにも無頓着である。 見て見ぬふりなのか、いや、ぼけ過ぎて見えていないような気がする。
 いくつもの安全保証を考えなければならないのに、ほとんど考えられていない。危機を感じていないから、考えられないのだ。ましてや、危機が起きたときの管理を、考えているはずはない。テロや核攻撃に対する処理を本気で考えている国とは雲泥の差である。
 今回の原発事故に対しても、事の重大性に気がついていないような気がする。日頃全く考えていないので、当然のことながら、対策は付け焼け刃である。命をかけた仕事を、そのように訓練されていない一般のサラリーマンの使命感にのみ頼るような状態になってしまった。 緊急にいろんな分野から手厚いサポートが、要るであろうに、後手、後手に回り、個々の対策が不十分である。まさに試行錯誤の連続、モグラたたきの感は否めない。1ヶ月たっても、深刻さが増すだけで、解決の目処すらたっていない。

 今回の事故の被害は、既に甚大である。 今後の健康被害、経済被害は、計り知れない。 日本国民のみでなく、世界に与えた精神的ストレスは如何ばかりか。時間とともに日本たたきが増大するのは目に見えている。

 日本の原発推進者は、国民の生命と安全を楯にして、技術的な綱渡りをしている。賭をしている。彼らに「何か隠しているのではないか、情報公開を」と迫っても埒があくはずもない。
 政治主導と謳って、自らの無能力をさらけ出した政治家が、原発事故の処理を主導している。近隣諸国からあなどられ、管理能力不足が世界の公然(?!!)となった日本の政治が、最大級の国難処理にあたっている。おおいなる国難、世界の不幸と言わざるを得ない。

 原発の技術は、急進展しない。安全管理意識も安全管理手法も急展開しない。今の日本には、原発を保持する能力はない。地震大国、小面積国、多人口という日本の特殊事情を合わせて考えると日本は原発を持ってはならない。

 世界を震撼させる放射線障害や日本の原発事情は、知れば知るほど、「経済を考えるとしかたない」から「不安を感じる」へ、更に、「日本に原発はあってはならない」に必然的に変わる。

 本で、これ以上原発を増やすことは、国民世論が許さないであろう。しかし、それだけでは危険な既存の原発が残り続ける。少々安全対策が強化されたとしても、危険性はほとんど変わらない。
 今後、積極的に、原発の全廃を求めていく必要がある。

 原発はなくとも、前回コメント頂いたように再生可能エネルギーがある。

2011年4月6日水曜日

他の原発も危ない

知人から1997年に原発の危険性を警告した石橋克彦神戸大学名誉教授の情報が送られてきた。 1997年にタイムマシーンにのって2011年に起きた事故をみて書いたのかと錯覚するほどそっくりなので、驚かされる。 地震、津波、原子力発電が停止したとしても、電力系の故障による水冷の停止、水素爆発と続く。 さらに・・・・。 書かれた当時は、誰も想像していないことなので、当然とはいえ、何故そう予想されるのかと専門家らしく分析している。 大きく異なるのは、震源が宮城沖でなく、東海沖であること。心配の主な対象が浜岡原発であること。
 
地震学者は、口をそろえて、いつとはいえないが、必ず東海沖、東南海沖、南海沖で大きな地震が起きるといっている。 ということは、次は浜岡原発が危ないということになる。 石橋氏によれば、日本海側も大きな地震が起きる可能性が高いと言う。 柏崎刈羽には7基の原発がある。 若狭湾は原発銀座と言われ、14基の原発がある。
原発の多くは、老朽化していると聞く。 そして、原子炉が集中しているとも聞く。 そうであれば、その他の原発も危険である。
 
そもそも原発が最初に作られていたときから、大きな原発事故は、必ず起きるといわれていた。 複数の事故原因が重なるとしたら、それを組み合わせた数は、膨大となる。 複数の事故原因が連続して発生することを想定し、対策を考えておくことは、不可能と指摘されていた。 そして、そのうちの一つ一つに大きなお金がかかるとしたら、必然的に対策範囲が狭くなる。 対策しきれないという指摘は、今回の原発事故に的中した。 今後、対策を増やしたとしても対策しきれるものではない。 当時と違って現在では、テロの心配もある。

使用済みの核燃料の保管場所も残りスペースがなくなってきているという。 その保管場所も一時的なもの(長期間にわたって冷やす)で、別途、最終的な保管場所(閉じ込める)を確保する必要があるが、目処がたっていないとのことである。 当初は、海底を考えていたようであるが、現在、海底保管は国際法で禁じられてしまったとのこと。

原発の建設にあたり、ここには活断層はありません、一万年前にさかのぼっても地震は発生しておりませんと言って、地元を口説いてきたという。
活断層は次から次へと見つかっており、活断層が無くても直下型の大地震が起きる。 又、地震がおきた箇所の地震調査にも抜けがあることが明確になってきている。 調べ尽くしたかどうかにわからないのに、1万年にわたって地震がおきてないと主張するほうがおかしい。 誰が保証したのか。 一万年おきていないことも保証になるのか。 今回の大地震は、この一万年で最も大きいかもしれない。 

石橋克彦氏によれば、
「日本のような地震の巣となっているところでの原発は、大きな賭である」
といっている。 国民を担保にした賭で、今回、大きく負けてしまった。未だ、どれだけ負けたか決着がついていない。 負け度合いが益々広がる可能性もある。

更に石橋氏は、
「地震の巣上での原発は、近隣諸国にとっても迷惑千万だ」
と続けている。  汚染の広がりが大きければ、世界中に迷惑をかける。

今回の福島第1原発の事故を受けて、国際的な安全規格を作る話が、浮かびあがっている。
先ずは、原子炉は一カ所に集中させない、使用後の核燃料を原子炉の側に置かないことが検討されているとのことである。 新国際規格ができれば、日本のほとんどの、いや全部の原子炉は規格を満たさないことになる。

核燃料を繰り返し使う技術も検討もされているが、これは遅れに遅れており、できるとは考えにくい。(もんじゅのこと)

電力会社は、今回大きな事故がおきたにもかかわらず、今後とも作り続けることを表明する可能性がある。 これは国民が許さないと予想されるが、強く反対しないと、また、だまされることになる。 今回の政府や東京電力の対応をみていると、全くこころもとない。

現在、稼働中の原発は、今回の事故を踏まえ、ある程度対の策はとられるだろうが、保証できるものではない。 

今後、新規原発は許してはならないし、現存の原発もできるだけ、早く閉じさせる必要がある。 そうしないと安心して暮らしていけない。

世界的に、不気味にも、大きな地震が続いている。 次はどこかの原子炉を直下型の大地震が襲うかもしれない。

昔と違って今は、再生可能エネルギーという手もある。 ここは腹をくくって、全ての原発を捨てて、再生可能エネルギーに移行していく必要があると考える。  膨大な事業になるが、政府も国民も一致団結して本気で取り組めば、必ずや十数年でできると推察する。

以下、ネット上でみられる情報です。

石橋克彦 神戸大学名誉教授の1997年の資料は、ご自身が発信しておられる以下のURLからみることができます。 知人からはこのURLが送られてきました。
http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/2011touhoku.html

御前崎市在住の大橋氏による「浜岡原発は本当に大丈夫なのか」
  注:浜岡原発は御前崎市にある
http://hamaoka2009.ciao.jp/
浜岡原発は海外から世界一危険と指摘されているとのこと

京都民報Web : 「若狭湾原子力発電所 ただちに総点検を」
http://www.kyoto-minpo.net/archives/2011/04/04/26_14.php
あらためて地図を見させられると京都、大阪、奈良、神戸どこも若狭から近いなあと感ずる

「柏崎刈羽原発の閉鎖を訴える科学者・技術者の会」
http://kkheisa.blog117.fc2.com/
第二、第三の「福島原発震災」が再現する可能性・・
とくに、2007年の新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原発、・・・・

「3/17 福島原発の現状と、今後予想される危険~後藤政志さん」youtube
http://www.youtube.com/watch?v=etcASxPNzeU&feature=related
これをみると福山第一原発は、予断を許さない深刻な事態がまだまだ続く。
まさに薄氷を踏む思い。

2011年3月29日火曜日

福島第1原発、まずは、現場対応者に思い切ったインセンティブ・メッセージを

CNNのニュースをみていたら、福島第1原発の報道を始めた。
防御服を着た人達が原子力施設に入る姿を写し、ヒーロー達だと紹介し、讃えていた。

原発事故処理で予断を許さない状況が続いている。
事故処理を作業する人には、高い技術が要求されており、誰でもができるものではないという。 必然的に対応できる人は限られる。 現実的に、不眠不休で食事もろくに取らずに対応しているとのこと。 厳しい原発事故処理が、長期にわたることを考えると、今のままでは、もたない。 現場の人たちの使命感だけでは、無理がある。

政府には戦時体制で臨むべきと言いたい。 つまり、経済性は度外視して、国をあげて、思い切って知的、物的、労働力を投入し、外国にも多大の支援を要請するなど、全力で事にあたるべきではないでしょうか。 なにせ6基も並んでいるのだから、最悪が起き得ることを想定した対応が必須ではなかろうか。
 
現場での志気を維持するためには、従事期間に多額の報酬と事後の補償の保証を事前に提示すべきではなかろうか。 特に、送り出す家族の補償を充分に考慮し、送り出す不安を少しでも和らげる必要がある。

将来に禍根を残さないように、世界に、近隣諸国に迷惑をかけないように、何にもまして、国民を守るために、政府は思い切った手を打つべきである。

原子力発電は、ほっておいたら暴走する核分裂を抑制・制御しながら、平和利用をしている。 その抑制・制御がおかしくなっているのだから、大変なことである。
最悪はチェルノブイリの6倍、それ以上かもしれない。
大震災の復旧作業と比較して、一般の国民には手が出せない。一般人ができることは、このような大胆な手法をサポートし、後押しをすることしかない。

思い切った財政出動を! できるかぎりの最大限の対策を!
大きな財政出動をためらってはならないと考えます。
今の今に至るまで、経済のことは誰もわかっていないのではないでしょうか。
大出費は、好転につながる可能性も秘めている。 歴史が、それを示している。
そして、なにより経済は目的でなく、道具である。
この緊急事態に、道具をフル活用しない手はない。

世界に被害が拡大しないように、何よりも日本を守るために、国民を救うために、大財政出動をいとわず、経済を武器の一つにして、最大限対策が行われるように提言します。
この小さな提言が多くの人によって、膨らんで、もしくは、より正しい方向に矯正されて政府に届いて、実行されますように。

2011年3月29日