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2011年6月14日火曜日

東日本復興ビジョン案(5)

5.次世代社会の先取り=東日本復興ビジョン 

いままで
東日本復興ビジョン案に向けて(1)提案をする意義 
東日本復興ビジョン案に向けて(2)危機的状態にある世界・人類文明 
東日本復興ビジョン案に向けて(3)危機脱出に向けたうねり=次世代社会の模索 
東日本復興ビジョン案に向けて(4)新旧社会の対比でみる各国の動き、日本の動き 

今回
1)温暖化に鈍感な日本人、温暖化ビジネスで大敗 
2)自然再生の重要性 
3)復興ビジョン=次世代社会の先取り+広領域な経済特区 
3-1)再生可能エネルギーによるエネルギー自給+工場誘致 
3-2)自然再生→安心安全を提供する農林水産業→食料自給率向上 
3-3)動脈・静脈バランス社会 
3-4)復興ビジョン実現にむけた復興手順 

1)温暖化に鈍感な日本人、温暖化対策ビジネスで大敗 
 地球温暖化対策の国際会議において、米国も中国も温暖化ガスの排出削減目標に堅く口を閉ざす。しかし、両国とも温暖化対策のキーテクノロジーである再生可能エネルギーの開発・普及に余念がない。一方、日本は、国際会議で、温暖化ガスの排出削減目標を口にするものの、政治家のパフォーマンスに過ぎず、再生可能エネルギーの普及は微々たるもので、電力エネルギーの約1%にしか過ぎない。
 地球の将来をみたとき、地球温暖化が破滅的であることは、ほぼ世界の常識である。国際会議では、それを知った上で、経済成長も無視できないとして、自国の利益をかけて丁々発止の駆け引きが行われる。そこに、温暖化の危険性を理解もしておらず、危機感も持たない日本の政治家が、しゃしゃりでて何の定見もなく、ぺらぺらとしゃべる。
 温暖化に対して、危機感のない日本は、世界の動向が見えておらず、個別企業が頑張っているとは言え、大きなビジネスチャンスを逃してきた。せっかくの大きな内需を失っている。中国・台湾・韓国の太陽電池メーカーが日本で既に販売を開始した。従来の電気製品ではあり得なかったことではないか。世界と危機感を共有できない日本は、世界の迷惑である。そして、日本は自分自身で経済チャンスの芽を潰している。
 温暖化は、大洪水や旱魃を引きおこしていることから各国の食料自給率の向上も必要としている。

2)自然再生の重要性
 地球温暖化対策は、温暖化ガスの排出削減だけでは不十分である。主たる温暖化ガスである二酸化炭素を大気から減らさなければならない。光合成で二酸化炭素を吸収する緑の増大、つまり、自然再生が必要である。山頂の水源林から、河川・海と流域全体で自然再生を行う。自然再生は、遠回りのように見えて、特に農薬、化学肥料(石油製品)を使わない農業に、育てる漁業に、ひいては食糧自給率向上に非常に重要である。自然再生が生物多様性に重要なのはいうまでもない。今後、日本ではゲリラ豪雨による洪水被害の増大が予想される。災害対策にも自然再生が必要である。斜面の急な杉や檜の植林は、根こそぎやられる。ダムは、自然の破壊者である。大洪水の場合のダムの決壊は被害を大きくする。洪水がなくともダムは直ぐに土砂に埋まり、その役割は短期間で急減する。老朽化すれば、逆に危険になる。今後予想される大洪水は正面から止められない、昔々の信玄堤や吉野堰のようにいなすのである。ちなみにダムによる水力発電は、世界的にクリーンエネルギーとはみなされていない。
 
3)復興ビジョン=次世代社会の先取り+広領域な経済特区 
 今回の福島原発事故で、いつ終わるとも予測のつかない被害を受けて、日本人は原発の危険性を知った。使用済み核燃料は、行き場がないことも知ってしまった。
 世界は、持続可能で、真に安心・安全な世界へ向けて、急転回しようとしている。逆に言えば、破滅的な危機が急接近してきていると言える。
 このようななか、被災地は、
 「持続可能な、真に安心・安全な次世代社会を世界に先駆けて実現する」
という大きな復興ビジョンで邁進すべきではなかろうか。
 世界が推進するエコシティー、スマートシティの大型版・発展版である。地域も被災地域だけではない、被災県全領域とする。そして、3県全領域を、従来、法律にとらわれない経済特区とする。様々な既得権も振り出しにもどす。

3-1)再生可能エネルギーによるエネルギー自給+工場誘致 
 先ずは、現在日本のかかえる危険な原発を、世界が懸念する温暖化危機を解消に導く、再生可能エネルギーの自給を目指す。さらには、太陽光発電に、地熱発電、マイクロ水力発電、洋上風力発電、瓦礫材・廃材・不要な間伐材利用のバイオマス発電などをあわせ、クリーンな再生可能エネルギーを謳い文句とした工場誘致を行う。誘致される工場はゼロエミションを約束できなければいけない。再生可能エネルギーの装置を作る工場であればもっとよい。日本の一日も早い原発削減に寄与できればすばらしい。地域全体は、もちろん、スマート・グリッド、スマート・エナジー最前線である。

3-2)自然再生→安心安全を提供する農林水産業→食料自給率向上 
 次は、自然再生をベースとした農林水産業の活性化による木材、食料の国内自給率向上。CO2の吸収を増加させるために、必要な水源林を確保するために、山津波や土砂崩れを防ぐ治水を行うために、森林整備を行う。
 放置されて、荒れた山林に、適切な間伐を行い、光を通し、風を通すと山は生き返るという。地中のバクテリアは増加し、林間には多種多様の昆虫や小動物が蘇る。木々は、地中からバクテリアが分解した豊富な栄養素を、大気中からたくさんのCO2を吸収し、大きく成長する。地中には、大量に水を蓄え、大気には沢山の水蒸気を放出する。豊かな森は、大気、河川、海の間を行き来する水循環を安定させる。一緒になって流れるバクテリアや植物プランクトンは、水を清浄化し、畠や海に栄養をもたらし、各種生き物を育む。いくら科学が発展しても、結局は自然の恵みで、我々は生かされており、豊かな自然は次世代社会の基本的なベースである。森林から、里山、河川、海へと自然再生を広げていけば、日本の林業復活、農薬・化学肥料を使わない、食べて安心・安全な農業促進、育てる漁業促進につながる。日本全体の農林水産業の模範となり、就労人口が大幅に減り、ガタガタになった日本の農林水産業が復活すれば、日本全体の食料、木材の自給につながっていく。

3-3)動脈・静脈バランス社会 
 現在社会は、ものをどんどん生産し、消費し、どんどん捨てる。おかげで世界中のゴミは増える一方で、多くの国がその処理に頭を悩ましている。動脈過剰で、静脈機能に欠けた社会である。日本各地で3R(リサイクル、リユース、リデュース)運動が行われているが、まだ端緒についたに過ぎない。現在、被災地は、瓦礫が山積みになっている。これらはエネルギー源、都市鉱山ともとれる。次世代社会では、あらゆるゴミは、生産資源、もしくは、エネルギー源になる。燃えるゴミは、発電機能付き焼却炉で処理される。糞尿はバイオ燃料である。食品ゴミはバイオ燃料か、肥料に化ける。金属類のゴミは、都市鉱山として使われる。全く再利用できないものは、いずれ淘汰されて、最初から作られなくなる。
 まずは、震災を逃れることができた周辺の市町村に発電機能付きゴミ焼却施設を作っていったらどうだろうか。

3-4)復興ビジョン実現にむけた復興手順 
  1. 復興ビジョン(=次第社会先取り)を国内に衆知させるとともに具体策は震災地をはじめ、広く英知を集める
  2. 被震災県の全体を経済特区とする
  3. 国の権限をできるだけ被震災県に渡し、復興ビジョン実現を迅速化させる。
    県は必要に応じて、市町村に権限を移す。但し、単なる個人的エゴや特定団体エゴは厳しく排除する
  4. 国は必要財源を確保する。
    無利子国債、赤字国債、増税、増札(単にお金を刷る)などが言われているが、増税は、経済を不活性化させるのでまずいのでは。
    経済は、誰もわからないほど、複雑といわれる一方で、+-の単純世界ともいわれている。自然災害で失われた損害額分、単純にお金を刷ってもよいのではないだろうか。日本経済、世界経済にも影響を与えないのではなかろうか。もし、お金の世界と物の世界は違う、刷ったお金は、結局は、だぶつくといわれるのであれば、刷った分のお金は復興したときに、燃やしてしまえばよいのではなかろうか。
  5. 県は、国の復興ビジョンを受け、被災地のみならず県の復興に向けて、復興ビジョンの具体案を作る。山頂から海まで、県全体を次世代社会に変えてしまう。
  6. 震災被害地自身の町作りは、どうするのか。広くアイディアを募ればよいが、まずは、
    • できるだけ住居は作らない。学校、市役所など市民生活に欠かせない公共施設は作らない。これら住居、学校、病院は高台につくる。
    • 被災地には、農場、海産品加工場、工場、さらには再生可能エネルギー生産場などにする
    • 被災地の道路は、整備しなおして、以前よりは、広くして、避難道路を兼ねるようにする。
    • 津波の防波堤は作らない。海岸線は、できるだけ自然のままに残すようにして、不必要にコンクリートで固めない。
      など


 いずれにしても、日銀に刷って貰ってでも、早くお金を用意して、雇用を確保して、被害者の不安を取り除く必要がある。次世代社会を目指せば、いくらでも仕事はある。これにそって、雇用を創出し、被災者の雇用を確保する。集落単位で雇用が提供できれば、ベターである。継続的な雇用か、一時的な雇用(時期をみて、もとの仕事に帰る)かは、被災者の希望にそう。雇用に応じて、住居を用意する。


 政府は、自ら陣頭指揮をすることを目指すのではなく、方針やビジョンを明確にしたあとは、現場が動きやすいように、環境作りに専念すべきではなかろうか。
 ビジョン策定後は、復興費の捻出、規制緩和に向けた経済特区作り。その後は、自治体への権限委譲や、全国から支援のしやすい法律改定などが考えられる。復興経済が順調にすすむような仕組み作りも必要になろう。
 もし、政府の動きが悪い場合は、被災自治体、被災者、復興支援をする各団体・個人もどんどん積極的に動き、中央集権的な権限をどんどん奪っていくべきではなかろうか。そして、不適切な、理不尽な種々の規制緩和を撤廃させていくべきではなかろうか。
 テレビや新聞メディアは、不毛な政局争いの報道はやめて、まともな議論ができるコメンテーターを集めて、今後どうすべきか、まとめあげていったらどうだろうか。科学や法律などもっと調べて、啓蒙的な役割をもっと推進したらどうだろうか。
以上

2011年6月9日木曜日

東日本復興ビジョン案に向けて(4)

4.新旧社会の対比でみる各国の動き、日本の動き 

東日本復興ビジョン案に向けて(1)はここ。 
東日本復興ビジョン案に向けて(2)はここ
東日本復興ビジョン案に向けて(3)はここ

 世界は、経済第一という点で、モノトーン化してきたようにみえる。各国ともGDPが増大していれば安心し、GDPが停滞もしくは減退していれば、非常に不安がる。経済成長のためならば、少々の不具合や齟齬は許されてしまう。なりふりをかまわない経済成長第一主義のように見える。
 一方で、世界は、地球温暖化や自然破壊、さらには化学物質汚染や人口爆発などを破滅的な危機と捕らえ、持続可能な社会へ向けて、変貌しようとしている。
 このような二つの流れの中で、各国はどのように動こうとしているのか、かなりの温度差が見られる。
 ヨーロッパは、温暖化に、かなりの危機感を持っている。現実の猛暑、寒波、大洪水など温暖化被害を肌で強く感じているからであろう。「温暖化対策と経済成長の両立」を標榜している。再生可能エネルギーの全量買い取り制度や排出権取引制度などの温暖化対策も効を奏しており、太陽電池のQセルズや風力発電のヴェスタスなど急成長してきた。再生可能エネルギーの雇用を支える職業訓練も充実している。エコシティ、エコタウンの実証など盛んに行われている。ドイツなどは3R(Recycle、Reuse、Reduce)も進んでいるし、汚染化学物質規制もEU主導である。EUとして、複数の財政困難な国家を抱え、植民地時代のつけである移民問題などをかかえたりしているが、地球温暖化に対する危機感は相当なものがあり、国際社会を引っ張っていこうとする強い意志が感じられる。原発は、温暖化対策として位置づけが大きくなっていたが、福島の原発事故で、ドイツとスイスは原発廃止を決めた。

 米国は国策で温暖化対策としてグリーンニューディールやモーダルシフトを進めている。アルゴア元副大統領やアースポリシー研究所レスターブラウン所長などは、温暖化を非常に危機だとして積極的な啓蒙活動を行っている。現実に竜巻やハリケーンの巨大化、西海岸の山火事の頻発など温暖化被害は増大している。ビジネス界は、温暖化対策重視と軽視の真二つに割れている。対策推進派は、再生可能エネルギーを大きなビジネスチャンスとしてとらえ、積極的に事業展開を行っており、太陽光発電も風力発電も急速に普及している。スマートグリッドもIT技術が応用できるとのことで、グーグルなどIT企業が積極的に取り組んでいる。電気自動車の開発や普及にも積極的である。その一方で、経済成長第一主義者や石炭・石油ビジネス業界も黙ってはおらず相当な相克がある。原発は今後も継続するとのことであるが、米国では再生可能エネルギーの技術開発・普及が今後も加速度的に進むと予想される。

 中国は、国営資本主義でなりふりかまわない経済成長を邁進中である。環境汚染も相当にひどいと聞く。人権軽視、検閲強化など自由主義圏の世界からは考えられない振る舞いであり、覇権拡大意識も強烈である。南沙諸島、西沙諸島さらには尖閣列島の領土主張、インドを包囲する真珠の首飾り作戦などなど。世界中の資源あさりは衆知の事実である。将来の食糧不足に備えたアフリカ諸国での農地確保、片道切符での農夫の送付など、やりたい放題の感がする。  中国では北東地方の旱魃がひどく、新彊地区の氷河も目に見えて後退しているなど、温暖化被害も深刻化している。砂漠も拡大しており、数年で北京に押し寄せるのではないかと心配されている。このため、中国政府は植林をはじめとして自然回復にも積極的で、「緑の長城作戦」「退耕還林」「退耕還草」「季節的休牧」などを行っている。再生可能エネルギーにも積極的で太陽電池や風力発電が急速に普及している。太陽熱利用の温水もブームになっている。電気自動車の普及に向け、給電所が急ピッチで広がっている。エコシティの実証実験も積極的で日本を含む各国が技術提供や共同開発を行っている。都市鉱山も着々と進めている。次世代社会へ向けて中国も大きく動いている。中国の原発は、あれだけ広い土地がありながら地震多発地帯に建設されている。これは改善されると予想される。

 オーストラリアは、温暖化対策には必ずしも積極的ではなかったが、旱魃や山火事の頻発など温暖化被害が大きくなり、状況が一変した。温暖化対策が選挙戦の争点となり、温暖化対策推進派が勝利した。しかし、炭素税の導入に対しては、現段階で反対意見のほうが多いとか。ここでも温暖化対策と経済優先の押し合いがある。

 日本は、世界的にみて、温暖化に対して危機意識が非常に希薄である。世界的な意識調査ではほぼ80位と非常に低位である。温暖化対策の国際会議では、毎回、発言が後ろ向きであるとして、”化石賞”を貰っている。危機意識が低い第一理由は、なんといっても温暖化被害が他国と比べて軽微であるからであろう。被害は少ないといっても、九州産のコメは温暖化の影響で白濁化した。商品にならないということで品種改良がされ、既に改良品が出回っている。ミカンもサクランボも影響を受けている。農家だけではない、漁師が獲る魚はどんどん南方系になっている。専業の第一産業従事者が少ないので、声があまり聞こえてこないのだろう。
 ゲリラ豪雨被害で死者が増えても温暖化の危機意識を持たない。温暖化に対して、危機意識を持っていないから、京都議定書の遵守や排出権取引は、単にビジネスの障害にしか見えない。
 危機意識が薄い他の理由として、都合の悪いことは、見たくない、聞きたくない、考えたくないという国民性にあるとも言われている。

 日本は、高度成長の夢いまだ覚めやらずで、高度成長が続く中国、韓国を恨めしそうに眺めている。そして、夢よ、もう一度ということで、工業製品で稼ぎ、その他は輸入という旧態依然としたビジネスモデルに固執し、経済成長ばかり気にしている。高度成長ボケは、世界の次世代へ向けた取組が目には入っても、耳で聞いていても、思考に入らず、ましてや方針になっていない。過去の幻影を追っているだけである。
 資源は輸入が思うようにならないということで、少しはあわてているが、食料も木材も輸入できなくなるかもしれないということまで、考えられていない。

 日本の国際会議での温暖化ガス排出削減宣言は、国内外で、真剣さのない政治家の単なるパフォーマンスとしてしかとらえられていない。本来の持続可能社会つまり安全社会という一面を忘れている。CO2排出削減の世界へのつじつま合わせと経済成長のみを考慮して、スマートグリッドなどの新技術を使わない従来技術でできるという安易な発想で危険な原発に極端に頼ろうとしていた。今回の福島の事故で、原発の問題が浮かび上がってきた。使用済みの核燃料がたまりに溜まって、行き場がないことや日本が地震の巣であり、今後も事故の可能性が大きいこと、安全技術管理が不十分であることがわかってきた。ウラン資源も限りがある。エネルギーだって、いつも簡単に輸入できるとは限らない。石油をめぐって国際社会はいつもきな臭い。

 日本は従来型の経済第一主義一辺倒で、温暖化や食糧難など世界的な危機へ向けた取組が全く遅れている。日本での再生可能エネルギー普及は、たったの1%である。全くの出遅れである。大きな内需を失っている。そのせいで温暖化対策をビジネスチャンスとしてとらえた企業はしかたがないから、他の国の温暖化対策推進に便乗して頑張っている。輸出の増大ということで政府がはじめて後押しをする。非常に奇妙な構図と言わざるを得ない。

 危機は温暖化だけではない。食料も、木材も、エネルギーも、自然も危機である。対策は各国とも自然を涵養して、食料も、木材も、エネルギーもできるだけ自給して、持続可能にしていくことである。  日本は世界の危機を知り、東日本大震災の復興で次世代社会のありようを世界に先駆けて実現すべきではなかろうか。  漁師が山に木を植える運動の起点は、仙台の漁師である。岩手県葛巻町は再生可能エネルギーに注力し、電力の自給率は180%、エネルギー全体でも78%とのことである。最も難しいとされたリンゴの無農薬栽培に成功した木村秋則さんは青森県である。東北には、次世代の先鞭がある。もともと日本人は自然涵養で優れたDNAを持ち、3R精神に富んでいた。昔の日本人に立ち返り、東北大震災のあとに、一日も早く原発のない持続可能な次世代社会を実現して欲しいと思う。

次回 
5.次世代社会の先取り=東日本復興ビジョン

2011年5月31日火曜日

東日本復興ビジョン案に向けて(3)


3.危機脱出に向けたうねり=次世代社会の模索

 前々回はここ。 前回はここ

 現代文明は、豊かさや便利さを手にした反面、自然を破壊し、有害物質を陸空海にばらまき、二酸化炭素を大量に空中に放出し、地球を温暖化させている。有害物質は、深刻な健康被害を引きおこし、遺伝子まで変えてしまう。自然破壊や地球温暖化は、食物連鎖の底辺である植物プランクトンから身近な食料にまで被害を与え、世界的な食糧不足を引きおこす。古代文明が、自然破壊から食糧不足になり、滅んだように、現代文明も食糧不足になれば滅ぶと予想されている。

 地球の温暖化が進み、みんながこれは危ないと思ったときは、もう手遅れである。その時は、地球の熱暴走が止まらなくなっている。どんな手を使っても熱暴走を止めることができない。ほとんどの生物は、死に絶えてしまう。

 多くの日本人は、ほとんどの日本人は、このような危機感を持っていない。悲しくなるほど、無頓着である。しかし、世界をみれば、このような危機感が、世界を根底から変えようとしている。
 破滅にむかう文明を、どのように持続可能な文明に変えていこうとしているのか。どのように変わってきているのか。

 温暖化ガス排出削減に向け、太陽光発電、風力発電などが急速に普及しており、それ以外にも様々な再生可能エネルギーが開発されている。再生可能エネルギーは温暖化ガスを排出しないのみならず、有害物質を排出しない。クリーンである。しかしながら、太陽光発電も風力発電も天候などの自然状況に左右され、作り出される電気は不安定である。不安定な電気を使いこなしていくために、スマートグリッドと呼ばれる技術が開発されている。スマートグリッド技術で、場所的な電気のふらつきを、また、時間的な電気のふらつきを、抑えようとしているのである。

 電気自動車は、未だ少ないとは言え、走り始めている。電気自動車に必要な電気を全部石油で作ったとしても電気自動車の方がガソリン車より、CO2排出が少ない。電気自動車の先をいく水素燃料電池車も開発されている。

 これら一連の地球温暖化防止策は、破滅型の文明から、持続可能な文明へ変わっていく重要な流れであり、低炭素革命と一般に言われている。社会の根本的な変革であり、まさに革命である。産業革命は、ダーティ革命であったが、低炭素革命はクリーン革命である。クリーン革命でなければいけない。原発はCO2を出さなくとも、人々を恐怖に陥れる放射線をだす危険性が大きく、クリーンではない。ダムは、原発と比較して、罪は少ないが、自然システムを大きく破壊することから、世界的にクリーンとはみなされていない。

 革命はこれだけではない。生産過多でゴミと汚染が溜まりやすい、いままでの静脈不足、腎臓不全の社会から動脈、静脈バランス社会へ脱出する3R(Recycle、Reuse、Reduce)革命も進展しつつある。低炭素と3Rを組み合わせたエコシティもしくはスマートシティ、さらには、自家用車より公共交通機関を重視するというモーダルシフトをも組み入れたコンパクトシティの実験が世界各地で行われている。都市鉱山に目を向けた資源革命も言及されている。ヨーロッパ発の有害化学物質を自己規制し、公表するというRoHS(Restricting of Hazardous Substances)規制を各国とも取り入れ推進しようとしている。

 つまり、世界は次から次へと問題を次世代に積み重ねていく破滅型社会を脱して、クリーンでかつ持続可能な社会へ移ろうとしている。

 食料についてはどうであろうか。
 最近、世界人口は70億人を超えたと報道された。2050年には90億人以上になると言われている。世界の飢餓人口は現時点で約10億人。増大する人口に水、食料を供給し、エネルギーを確保し、そして、可能な限り飢餓人口を減らしていく。そんなことはできるのか。それができなければ、持続可能社会とは言えない。

 エネルギーに関しては、上記のように不十分とは言え、世界中でいろんな新エネルギー改革が進められているが、食料については、対策が進んでいるとは思えない。もっと考察対策が必要なのではなかろうか。世界食料会議では、大きな問題となっており、「どの国も食料輸入に頼るべきではない、あてにすべきではない。各国ともに食料自給率の向上に努めるべき」となっているとのことである。ネオ植民地主義と揶揄される中国・韓国の食料確保政策はひどいとしても、日本はあまりに楽観、無策である。

 食料対策として、極端なことを言えば、砂漠を緑化し、雲を呼び、水を降らせる。そして穀物を作る。今後の世界人口増に対応するためには、それほどの思い切った対策を不退転の覚悟で推進する必要があると考えられる。

 実際に、セネガルからジブチまでアフリカ大陸を横断するように植林して、砂漠の南下を防止する「緑の壁」プロジェクト(2007年~)が進められている。ケニアでは、マータイ女史が、グリーンベルト運動(1977年~)を行い、現在までに3000万本の植林を行っている。中国では、「緑の長城」プロジェクト(2000年~)が推進中で、「退耕還林(耕作地を林地に戻す)」運動による植林も行われている。とはいえ、砂漠の緑化は、厳しいものがあり、長期戦という。

 砂漠の緑化は厳しいとしても、世界には森林の木材を全て伐採し、放っておいただけでは元にもどらない山地が広大にある。これらを水源林として回復し、水源を確保した上で、周辺に耕作地を増やし、穀物生産を増やして行く必要があるのではなかろうか。各国とも自然を回復し、穀物生産を増やし、自給率の向上を図って行くべきである。食料自給率を高める事ができた国は、食料を輸出するより、ノウハウ・技術を提供し、各国の食料自給率向上を促すようにすれば、今後の世界人口増にも耐えられのではなかろうか。ちなみに世界人口は100億人に達するまでに飽和すると言われている。 

 今後の連載予定。
4.新旧社会の対比でみる各国の動き、日本の動き
5.次世代社会の先取り=東日本復興ビジョン

2011年5月25日水曜日

東日本復興ビジョン案に向けて(2)


2.危機的状態にある世界・人類文明

前回はここ

 大震災から離れて世界に目を向けてみる。かなり、相当に、きな臭い。ソマリアやアフガニスタンなどの崩壊国家の続出、イスラム原理主義によるテロ活動の頻発、中東諸国の政変、スーダンやジンバブエなどの継続的な内戦などなど数え上げればきりが無い。世界は不安定になっている。これらの裏には食糧不足があると言われている。エネルギーも紛争の種である。イラク戦争の裏に石油有り、グルジア紛争の裏に石油有り、尖閣列島もしかり。水を巡る紛争も世界各地で散発している。

 そもそも人類は、文明発祥以来、自然を破壊し続けてきており、ここ百年では化石燃料を多量に消費してきた。地球は悲鳴を上げたのか、怒り出したのか、ここ数十年で目に見えて、地球は温暖化し、人類文明に強烈なしっぺ返しを開始している。熱波に、寒波、大洪水に、大旱魃。しっぺ返しは、無差別に行われる。弱いところから倒れる。食糧不足は少しずつ顕在化しつつあり、食物価格は確実に高騰化している。

 温暖化は、植物が実をつける時期と動物が子育てに大量の餌を必要とする時期を狂わせ、ある種の動物を絶滅に追い込む。動植物を絶滅に追い込むのは、温暖化だけではない。ダムは、稚魚に必要な植物プランクトンの流入を阻み、防波堤は海藻を枯らす。除草剤や殺虫剤は、知らず知らずに人類を含む哺乳類の生存に必要なバクテリアや昆虫、小動物まで殺す。化学肥料は、人の体に有害物質を蓄積し、ゆっくりと寿命を縮める。材料や触媒として様々の化学物質が開発され、ある種の化学物質は、生物の生存に必要なオゾン層を破壊する。別の化学物質は、遺伝子さえ損傷させる。石炭・石油などの化石燃料の燃焼は、CO2を排出し、健康に悪い科学物質をまき散らす。車は、昔と比べて大幅に改善されたとは言え、未だに臭いガスを吐きながら走る。

 いずれにしても、人類文明は、特に近代文明は、地球誕生以来、40数億年かけて、自然がつくりあげてきたミラクルの積み重ねである見事なシステムを充分理解することなく、急速に破壊している。未来を犠牲にして、今の快適さを追求している。現在の生物の絶滅スピードは地球史上過去5回起きたといわれているどの生物大量絶滅より早いと言われている。ほとんどの生物学者が、今は、第6次の大量絶滅の時代と捕らえている。自然が、自然システム破壊の元凶である人類文明を本気で潰すべく、大逆襲を開始しているようにみえる。

 人類を取り巻く自然環境は、厳しくなっているが、継続的な人口爆発にブレーキはかかっていない。つい最近、世界人口は70億人を突破した。食糧不足が潜行しているなか、人口は膨張し続けている。さらに、中国・インドでは富裕層が急増、肉食急増。1kigの牛肉は穀物10kgに相当するという。食糧不足の拡大は、間違いなく紛争を増大させる。

 食物不足解消に、遺伝子工学応用の食物が開発されている。遺伝子を操作し、穀物を除草剤に強くすると収穫量をあげることができるという。遺伝子操作すれば、鮭が数倍の大きさに育つという。これらは既に実用化されている。またぞろ、自然を充分理解しないまま、自然を根っこから破壊しようとしている。将来への“つけ”が、また増えている。

今後の連載予定。
3.危機脱出に向けたうねり=次世代社会の模索
4.新旧社会の対比でみる各国の動き、日本の動き
5.次世代社会の先取り=東日本復興ビジョン

2011年5月16日月曜日

東日本復興ビジョン案に向けて(1)


1. 提案をする意義

 東日本の復興はどうするのか。誰もが、新しい街づくりが必要と考える。政府もその方向で動いている。もし、政府が常日頃から、次世代社会についてビジョンを持って、語り、動いていれば、一般市民も復興の方向性に予想がついたであろうが、残念ながら、今の政府に明確な次世代社会のビジョンはない。
 東日本復興計画! 為政者でない、ましてや、行政の立場にもいない、そんな人が考えて何になる。利権に絡まない、既得権益もない人が、純粋に未来を考える。そこに価値があると思う。利権や既得権益にまで、考えが及ばない若い人が真剣に考えれば、もっとすばらしい。たくさんの人が純粋に考えることに大きな意義があると考える。いろんな人が、いろんな立場で、いろんな復興プランを考える。誰かがいいことを言う。それはいい考えだと同調者が増える。それが一気に社会を変えるトリガーになる。現今のネットワーク社会はそのような動きを可能にしている。現実に復興支援をネットで呼びかけ、多くの人が応じる、被災者側もネットで支援要請をして、これにも答えるという事例が既に生じている。もっとも、これだったら皆が絶対賛同してくれるだろうというアイディアが重要であることは言うまでもない。ここで、書くことが、たくさんの人が考える呼び水になればと思う。
 日本人は、お上と下々という意識がしみついて、いまだに、お上のいうことには、黙って従う傾向にある。もう少し言えば、考えもせず、異論もいわず、おとなしく従っていた。しかし、日本のお上はレベルが低い、日本人誰もが感じているだけでなく、世界の常識になりつつある。これでは、先が思いやられる。近隣諸国からもつけいれられる。下々意識を捨てて、普通の人が今後の政治に関心を持って考えていく必要があるのではないかと強く思う。昨今のネット社会は、国民的議論を容易にしている。

 ここでは、今後、以下のように連載していきます。
2.危機的状態にある世界
3.危機脱出に向けたうねり=次世代社会の模索
4.次世代社会とは?
5. 次世代社会の先取り=東日本復興ビジョン

2011年3月31日木曜日

震災被災者に元気になってもらうために

TVを見ていると震災被災者の方達は、当面の避難を乗り越えて、将来を心配し始めたようである。 とは言え、まだまだ、大変な生活が続く。
目覚めた瞬間から、洗顔・歯磨き・トイレ何一つ満足にできない。寒さに震え、地震におびえ、いつもそばにいた肉親に思いを馳せ、未だ会えぬ友を気遣い、自分の家と同じ状態の瓦礫の山をみる。 その中で、将来の不安が頭の中をよぎる。
このような被災者にしてあげるべきは、なんなのだろうか。 将来の不安を少しでも取り除いてあげることができるのは何なのだろうか。 とりあえず、プラバシーが保たれる住居を提供することも重要だと思う。 しかし、将来に渡って仕事がある、収入があるという見込みは、被災者を最も力づけると推測する。 それも今から仕事ができて、少しの収入でも得られれば、被災者は間違いなく、大いに元気づく。つらい現実をつかの間でも忘れることができる。

被災者自らを推進主体とする震災復興事業の立ち上げである。 事業といっても大げさなものではない。最初は、トイレ用の穴を掘る、炊き出しをする、動けない人の世話をするのも仕事のひとつである。 先ず、被災者を複数のグループ、例えば避難所単位、に分けて、何をするか、議論をしてもらい、行動を起こしてもらう。 被災者に頭も体も使ってもらう。 つまり、自助互助を支援する。 日当は、均一で全ての被災者に支払う。 動けない人にも子供も一律とする。 事務処理の簡素化とスピードを要するため、細かいことは一切いわない。もちろん、多大の自治体や政府の支援、ボランティアの支援は必須である。 要求や支援内容についても、積極的に発言してもらい、動いてもらう。 受動的な支援受け入れでなく、能動的な支援受け入れである。 被災者の生き甲斐ややる気の喚起が主目的であるから、例え成果があまりでなくとも一切問わない。全ての被災者に例えば日当5千円としても年間100億円未満、倍の日当でも200億円を大きく下回る。復興費が10兆円とか20兆円とかいわれているなか、元気をだしてもらえれば、これは安い。

今までとは違う新しい町づくりプランが、必要と誰もが思っている。 来るべき低炭素社会を考えると、エコタウンとかコンパクトシティになるのではないかと思う。
エコタウンは、日本を含む世界中で実証実験が行われており、コンパクトシティは複数の自治体で検討されている。
必ずやそのような町作りプランがでて、本格的な再興事業が始まるだろう。その時は被災者を最優先で採用し、働いてもらう。 町づくりもプラン段階から参加して貰い、被災者住民の意見を反映したものにする。

町作りが軌道に乗れば、地場産業やビジネスの立ち上げがメインになる。 被災者、住民が完全に全面にでて、新たなコンセプトの新たな町で被災者が、力強く独立していく。
震災前よりも町が栄えていく。

このような青写真を被災者に示し、実行し、被災者に元気になってもらうのはどうだろうか。

現法律では、復興支援は自治体が主体で、国はその補助をする、更に、国はお金ではなく、現物支給をすることになっているとのことである。
被災者に元気になってもらうには、お金も必要とのことで、鳥取地震のときには、当時の片山知事、現片山総務大臣が、県の権限として、お金を支給したとのことである。
このようにお金の支給には前例がある。

震災復興全体で見れば、非常に大きな費用が必要で、既に10兆円規模の予算が考えられている。 震災復興限定の増税も考えられている。
震災前からデフレ対策として、大きな財政出動を主張する経済専門家もいる。 国の借金が多いといっても、海外に借金しているわけではない。国民に借金しているだけなので、財政出動は、デフレ損を上回って問題ないとのことである。
自分には判断する力はない。 しかし、被災者を元気にし、エコシティやコンパクトシティなど、来るべき低炭素社会の基盤技術を育成し、更に、地方を活性化させると期待できる財政出動は、将来に大きなリターンが期待できる。 全く問題がないと推察する。問題がないというより、実行すべきではないかと考える。

被災者は、一見元気に見えても、精神的なダメージは想像を超えるものがあると思おう。
いわゆる経験したものにしかわからないという世界だと思う。
千年に一度の大震災というのであれば、千年に一度の大変化であろう。非常に多くの人の前で、その人たちが大事にしていたものが一瞬に消え去ってしまったのだから。

問いかけは、「震災被災者に元気になってもらうには、どうすべきか」である。
たくさんのアイディアがあって、しかるべき。
あなたも考えてみませんか。

たくさんのアイディアが重なり、純化され、行動となり、被災者が元気を取り戻しますように。