2011年5月31日火曜日

東日本復興ビジョン案に向けて(3)


3.危機脱出に向けたうねり=次世代社会の模索

 前々回はここ。 前回はここ

 現代文明は、豊かさや便利さを手にした反面、自然を破壊し、有害物質を陸空海にばらまき、二酸化炭素を大量に空中に放出し、地球を温暖化させている。有害物質は、深刻な健康被害を引きおこし、遺伝子まで変えてしまう。自然破壊や地球温暖化は、食物連鎖の底辺である植物プランクトンから身近な食料にまで被害を与え、世界的な食糧不足を引きおこす。古代文明が、自然破壊から食糧不足になり、滅んだように、現代文明も食糧不足になれば滅ぶと予想されている。

 地球の温暖化が進み、みんながこれは危ないと思ったときは、もう手遅れである。その時は、地球の熱暴走が止まらなくなっている。どんな手を使っても熱暴走を止めることができない。ほとんどの生物は、死に絶えてしまう。

 多くの日本人は、ほとんどの日本人は、このような危機感を持っていない。悲しくなるほど、無頓着である。しかし、世界をみれば、このような危機感が、世界を根底から変えようとしている。
 破滅にむかう文明を、どのように持続可能な文明に変えていこうとしているのか。どのように変わってきているのか。

 温暖化ガス排出削減に向け、太陽光発電、風力発電などが急速に普及しており、それ以外にも様々な再生可能エネルギーが開発されている。再生可能エネルギーは温暖化ガスを排出しないのみならず、有害物質を排出しない。クリーンである。しかしながら、太陽光発電も風力発電も天候などの自然状況に左右され、作り出される電気は不安定である。不安定な電気を使いこなしていくために、スマートグリッドと呼ばれる技術が開発されている。スマートグリッド技術で、場所的な電気のふらつきを、また、時間的な電気のふらつきを、抑えようとしているのである。

 電気自動車は、未だ少ないとは言え、走り始めている。電気自動車に必要な電気を全部石油で作ったとしても電気自動車の方がガソリン車より、CO2排出が少ない。電気自動車の先をいく水素燃料電池車も開発されている。

 これら一連の地球温暖化防止策は、破滅型の文明から、持続可能な文明へ変わっていく重要な流れであり、低炭素革命と一般に言われている。社会の根本的な変革であり、まさに革命である。産業革命は、ダーティ革命であったが、低炭素革命はクリーン革命である。クリーン革命でなければいけない。原発はCO2を出さなくとも、人々を恐怖に陥れる放射線をだす危険性が大きく、クリーンではない。ダムは、原発と比較して、罪は少ないが、自然システムを大きく破壊することから、世界的にクリーンとはみなされていない。

 革命はこれだけではない。生産過多でゴミと汚染が溜まりやすい、いままでの静脈不足、腎臓不全の社会から動脈、静脈バランス社会へ脱出する3R(Recycle、Reuse、Reduce)革命も進展しつつある。低炭素と3Rを組み合わせたエコシティもしくはスマートシティ、さらには、自家用車より公共交通機関を重視するというモーダルシフトをも組み入れたコンパクトシティの実験が世界各地で行われている。都市鉱山に目を向けた資源革命も言及されている。ヨーロッパ発の有害化学物質を自己規制し、公表するというRoHS(Restricting of Hazardous Substances)規制を各国とも取り入れ推進しようとしている。

 つまり、世界は次から次へと問題を次世代に積み重ねていく破滅型社会を脱して、クリーンでかつ持続可能な社会へ移ろうとしている。

 食料についてはどうであろうか。
 最近、世界人口は70億人を超えたと報道された。2050年には90億人以上になると言われている。世界の飢餓人口は現時点で約10億人。増大する人口に水、食料を供給し、エネルギーを確保し、そして、可能な限り飢餓人口を減らしていく。そんなことはできるのか。それができなければ、持続可能社会とは言えない。

 エネルギーに関しては、上記のように不十分とは言え、世界中でいろんな新エネルギー改革が進められているが、食料については、対策が進んでいるとは思えない。もっと考察対策が必要なのではなかろうか。世界食料会議では、大きな問題となっており、「どの国も食料輸入に頼るべきではない、あてにすべきではない。各国ともに食料自給率の向上に努めるべき」となっているとのことである。ネオ植民地主義と揶揄される中国・韓国の食料確保政策はひどいとしても、日本はあまりに楽観、無策である。

 食料対策として、極端なことを言えば、砂漠を緑化し、雲を呼び、水を降らせる。そして穀物を作る。今後の世界人口増に対応するためには、それほどの思い切った対策を不退転の覚悟で推進する必要があると考えられる。

 実際に、セネガルからジブチまでアフリカ大陸を横断するように植林して、砂漠の南下を防止する「緑の壁」プロジェクト(2007年~)が進められている。ケニアでは、マータイ女史が、グリーンベルト運動(1977年~)を行い、現在までに3000万本の植林を行っている。中国では、「緑の長城」プロジェクト(2000年~)が推進中で、「退耕還林(耕作地を林地に戻す)」運動による植林も行われている。とはいえ、砂漠の緑化は、厳しいものがあり、長期戦という。

 砂漠の緑化は厳しいとしても、世界には森林の木材を全て伐採し、放っておいただけでは元にもどらない山地が広大にある。これらを水源林として回復し、水源を確保した上で、周辺に耕作地を増やし、穀物生産を増やして行く必要があるのではなかろうか。各国とも自然を回復し、穀物生産を増やし、自給率の向上を図って行くべきである。食料自給率を高める事ができた国は、食料を輸出するより、ノウハウ・技術を提供し、各国の食料自給率向上を促すようにすれば、今後の世界人口増にも耐えられのではなかろうか。ちなみに世界人口は100億人に達するまでに飽和すると言われている。 

 今後の連載予定。
4.新旧社会の対比でみる各国の動き、日本の動き
5.次世代社会の先取り=東日本復興ビジョン

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