2014年8月30日土曜日

日本人論2-頑張るボトムとダメトップ


 前回、「讃えられる”GAMAN”と利用される我慢」を書いた。これは言いかえれば、頑張るボトムとダメトップにつながる。卑近な例では、会社の頑張る部下とダメ上司となる。〝叱ってなんぼ、叱られてなんぼ″、〝無理難題をなんとかするのがサラリーマン″。 これらの言葉は、まさに頑張る部下とダメ上司を象徴しているようにみえる。というのは、上司は部下を頑張らすことによって成果をあげて、本来の上司の仕事をしていないと考えられるからである。

 上司の上には上司がおり、更にその上に上司がいる。縦長の階層になっているなかで、下層部を頑張らすことが、上層部の仕事になっている。このため中間管理職は上から下まで、管理され管理することに一所懸命になって、上層部が本来すべきとされている経営がおろそかになっているように感じる。

  • 私が所属していた半導体業界は、アメリカに巻き返され、台湾に負け、韓国に負け、今は見る影もない。国際協業体制など分散化が進んでいたのに垂直統合に拘って負けた。
  • 電機製品は機能的には豊富であるが、市場性に欠け、国内で他国製品の進出を許している。
  • 水ビジネスなどは、フィルターなどは優れているが、総合的なシステム販売で負ける。

 結果的に、動向が見えていない、市場が見えていない、システムが見えていないということになる。また、管理職はたくさんいるのに、有効に機能していないともいえる。

 何故このようにダメ管理職になるのか。私は、江戸時代のお上と下々意識が今なお強く残っているせいではないかと思う。下々はお上のすることに口出しをしてはいけない、従っているだけ。お上が考えるべきことは一切考えない。

 現在においても、上のすることにほとんど口出しせずに従っている。このため下にいけばいくほど、視野が狭くなる。上にいっても無意識に視野に制限がかかって、あまり広がらない。社長になっても明日のことより、今日の利益のため、下を頑張らすことにエネルギーを注ぐ。

 上にいけばいくほど、おえらい意識が強くなって、部下教育のつもりのお叱りや説教がまかり通り、本来すべきことを行っていない。

 結果的に、大局的に将来をみる、市場をみる、システムとしてみる、などが不十分になり、他国の追い上げを許し、そのあげく負けてしまっている。

 管理され管理するのは、会社だけかと思えば、どうもそうでない。学校の先生は、書類作成などの雑務が多く、教育ができていない。 ”とにかく教育をさせてくれ”とは、真面目で真摯な先生の叫び声である。

 警察官の不祥事が、マスコミに取り上げられる毎に検察官への管理がきつくなり、最近では休日のデートまで報告する必要があるとか。

 日本全体が、無駄の多い、無味乾燥な縦長の管理構造が蔓延し、大局的にものをみたり、考えたりすることが不足している。

 どうすればよいのか。

 私はまず、上下意識をなくすべきだと思う。

   なぜあなたは、部下と平気で言うのか。部下は馬鹿であなたはそれほどえらいのか。なぜあなたは上司と平気で口にするのか。上司はそれほどえらくて、あなたは馬鹿なのか。

 上下意識は、いまや不要であろう。あるのは役割分担であろう。部下という言葉も、上司という言葉も死語にしろ、それほど卑屈になるな、それほど威張るなといいたい。
 未熟だから部下だというのであれば、早く教育して一人前にしろといいたい。

 管理という言葉もなくすべきだと思う。管理の英訳は、manage となっている。 manage は、「うまく処理する」という意味で、日本でいう管理の意味はない。

 次にすべきことは、縦長の管理構造を潰すことだと思う。全ての管理職をマーケット部門や事業戦略室などにまわして、市場調査や動向調査などを充分に行ってもらう。

 いまのままでは、日本全体に大局的に考える人の絶対数が不足している。質も量を足りていない。

 上下意識をなくす、縦長の管理構造を廃止し、大局的に考え行動する組織にすれば、日本本来の強みである現場力と大局観による将来力を組み合わせられることになり、他国に負けることのない強靭な社会ができると考えられる。

日本人論1‐讃えられる”GAMAN”と利用される我慢

2014年8月25日月曜日

能力開発(5)英語力3

能力開発(5)英語力3


 世界中で最も難しい言語は? それは日本語と言われている。

 外国の人にとって日本語の会話はそれほど難しくないが、読み書きとなると世界一難しくなる。

 日本語には、多様性と、柔軟性がある。この多様性と柔軟性により、次々と新しい日本語ができている。明治時代は造語がさかんであった。今はカタカナの外来語が定常的に増え続けている。和製英語だってある。そのほか、業界用語に、その職場でしか通じない職場語、女子高校生語(いまや標準語?)、などなど日本語は増え続けている。

 日本文学者のロバート・キャンベルさんがテレビで次のように言っていた。

 「英語は、昔も今もほとんど変わらないのに対し、日本語は時代とともに大きく変わってきた。日本語の時代変化の激しさにひかれて日本文学者になった。」

 漢字を取り入れたときから、日本語の変化が始まっているとしたら、日本語の時代変化は筋金入りで千年の年紀がはいっている。この年紀が日本語を奥深くしている。この奥深さにより、微妙な感情表現が可能になり、日本人の感性を豊かにしている。そして、それを外国の人に伝えるのは難しいと日本人は思っている。つまり、日本語は外国人に難しいと日本人自身も感じている。反面、短期で日本語をしゃべる外国人に感心している。

 脱線気味になったが、ここで私が言いたいのは、「世界一難しいといわれる日本語の読み書きを習得してきた日本人にとって、英語の読み書きは、英語のヒアリングほど苦労しない、むしろ得意だろう。」ということである。 現に英語のヒアリングが不得手なのに、英語の本や文献を読むことによって日本人は西洋文化や技術を短期間で吸収してきた。

 読み書きは苦手ではない、しかし、ヒアリングは苦手という日本人に適した英語の勉強方法はどんなものだろうか。

 パソコン上の英文とナレーションが、日本人に適した英語の勉強環境であると考える。よいヘッドフォンがあればさらに良い。パソコン上であれば、ナレーションを途中で止めたり、再開したり、簡単にできる。

 最近では、アメリカのCNNやPBSなどのニュースをパソコンで聞くことができる。そしてYoutubeで英語のドラマや映画も聞くこともできる。単に英語を聞くこともヒアリングの勉強ではあるが、聞き取れないところは何回聞いても聞き取れない、しかし、英文が手元にあれば聞き取れるようになれる。

 英文とネイティブなナレーションがあれば、まず英文を読んで理解する。これは通常、日本人が行う英語勉強である。そして、日本人が不得手とするヒアリングに取り組む。ナレーションを聞くとともに。自分で発音もしてみる。聞き取れないところは発音もうまくできていない。聞き取れるまで発音練習とリスニングを繰り返す。これを行えば、英語は上達する。誰でもがそう思ってもらえるだろう。
 聞き取れないところをサポートする英文があるというのが、ミソであって、勉強方法は人それぞれであり、先に英文を読んでおく必要はない。

 英文とネイティブのナレーションで、私が知っているものを次にあげる。
  1. BBC Learning English-6 minutes english
  2. English Today
  3. 英語の字幕がついている英語のドラマや映画
  4. Audiobook(字幕とナレーション)
面白い、わくわく感があれば、英語の上達も早い。そういった意味では、英語の字幕がついている英語のドラマや映画が一番良いと思うが、ネット上では、英語の字幕付きはなかなか見つからない。

 最近、YoutubeにAudiobookというのがある。百聞は一見に如かずなので、Audiobookを下に示す。



 多くの人は子供の時にお母さんに本を読んでもらっている。もちろん日本語で。これは日常会話以外の日本語を学ぶスタートである。でも英語の本は読んでもらっていない。このAudiobookは、まさに英語の本を読んでくれている。

 上にあげたのは、邦題「赤毛のアン」である。 その外に
 秘密の花園
 ロビンソン・クルーソ
 トム・ソーヤの冒険
 ディケンズのクリスマスキャロル
 
 子供がよく読む本をあげたのは、単にヒアリング勉強のイントロとして、適しているのではないかと思っただけである。これらの本は、子供だけを対象にしたものではなく、歴史に残る文学書で、読み応えも聞きごたえもある。

 Audiobookには、チャールトン・ヘストンが読む老人と海というのもあるが、これは残念ながら字幕が入っておらず、画面は固定である。
 要は、興味があって、ワクワクしそうな字幕付きのAudiobookを探して、ヒアリングを勉強すればよいというのが私の提案である。

 発音の練習も忘れないように、発音とヒアリングは双子の兄弟である。前回のブログを読んで頂いた読者から、「学生時代から発音には注意してきた。海外で英語の発音を習ったこともある。一般言われている[r] と[l]の違い以外にも [s] と[ʃ] 、[z][ʒ] についても日本人は苦手。」などコメントや意見を頂いた。この方は、きちんと発音の重要性がわかっておられるが、発音練習などしない人も多いのでなかろうかと危惧する。

 発音に関する無料のサイトがあれば、良いが。なかなか見つからない。
 次のサイトは、発音練習の助けになると思う。
 http://www.linkage-club.co.jp/entry/hatsuonkigo.html
 発音記号を押せば、発音が聞こえてくる。

 次もヒアリングの参考になると思う。
 British EnglishとAmerican Englishの違い https://www.youtube.com/watch?v=2nAnT3PASak   
 American Englishのイントロ https://www.youtube.com/watch?v=IQHo2RW0Tm8
辞書にはのっていない短縮発音 https://www.youtube.com/watch?v=c8k1O8KwGXA

 ヒアリングの勉強の成果確認に、又、純粋に英語で情報得たり、楽しんだりするためのサイトを少し紹介する。

 先ずは、英語のニュースサイト。

CNNビデオニュース、  BBCニュース

 Youtube で BBC drama で検索するとイギリスのTVドラマ(1時間以上も)を見ることができる。Youtubeには、自動字幕機能があり、これをオンオフすることができる。しかし、これは現段階では、全くだめです。使わない方がよい。

 最近は、ネット上の大学が人気を博している。
 https://www.coursera.org/ プリンストン大とスタンフォード大が協力して作ったサイト

 前回のブログの読者(先程とは違う読者)から、こんな面白いサイトにあるよと紹介頂いた。
  http://www.ted.com/
 TED(Technology Entertainment Design)とは世界の叡智が講演をおこなう極上のカンファレンス とのことです。  TEDを始めてみる人のための紹介サイト 



2014年8月16日土曜日

能力開発(4)英語力2

能力開発(4)英語力2


 前回のブログで英語と日本語について述べた。言語を限定せずに書き直してみると次のようになる。
  1. 幼少期に、自国語の周波数帯をはみ出た音はノイズとして認識されるように脳が出来上がってしまう。
  2. 言語は主に耳で覚える。自国の言語で使われている周波数は外国語の学習能力に大いに影響する。
日本語は低周波成分が多く、高周波領域を除外するように脳が出来上がってしまう。英語が持っている高周波領域は、日本人の脳はノイズとして受け付けない。このように日本人は英語を耳で学習する能力を奪われているので、日本人は英語が下手である。

 インターネットで各言語の使用周波数を調べてみた。下図と類似な図がいくつか見つかった。大同小異であったので、最もたくさんの言語を含んでいた図を下に示す。

   日本語と英語は、周波数が重なるところが全くないのか? 横軸は対数表示のようなもので、対数表示ではない、どのような基準で横軸は書かれているのか? 正確さはどの程度なのか? などいくつも疑問が湧く図ではある。

 しかし、ロシア人は言語能力が優れている、日本人はフランス語が上手である、日本人は英語が下手である、英語を苦手とする国は多い、など一般的に言われていることを説明する図になっている。

 意外なことに子音のない言語と言われているイタリア語の周波数が高い。スペイン語は、日本語より低周波で周波数帯域が狭い。
 スペイン語を母国語とするメキシコ人の多くがアメリカに移民する。彼らは、日本人以上に英語で苦しんでいると予想される。

 もし、日本人が英語を十分に聞き取れるようになれば、低周波領域から高周波領域までカバーできることになる。どんな国の言葉も聞き取れることになり、言語能力に優れた民族に豹変することに間違いなしである。

 幼少期にノイズだと遮断した英語の高周波成分をどうしたら聞き取れるようになるのであろうか。凝り固まった脳を柔らかにしなければならない。これは並大抵なことではない。

 ということで編み出されたアイディアがある。それは、まず英語の発音を訓練することだという。発音がうまくなれば、より聞き取れるようになる。聞き取りがうまくなれば発音も上達する。英語が楽しくなる。英語の勉強や英語に接する機会が増える。英語が更に上達する。

 英語の発音の勉強はどのようにすればよいか? どの英語の辞書も発音について触れている。辞書に書いてある発音方法は絵が描かれていないことが多いのでわかりづらい。

 これを書いていて、数年前に英語の発音に関する本を買ったのを思い出し、棚の奥から引っ張り出して、読み直してみた。

   英語脳DVD  遠藤尚雄著 主婦の友社 ISBN4-07-249780-0
(本屋では、店員さんにISBN番号を言ったほうが、早く見つかる場合がある。)

 この本では、英語発音時の唇の形が8種類に分類されている。舌の位置も8種類に分類されている。約50にわたる英語の発音を、どのような唇の形で舌の位置はどうするか、そうしてどう発音するかなどを説明している。そして同一内容のDVDがついている。

 いまは、この本が本屋にあるかどうかわからない。が、同一著者がネット上で発信している。
  http://www.pasocon-eikaiwa.com/

 本を買った時には、一読のままで終わったが、改めて練習してみようと思っている。この本以外にも探せば、英語の発音に関する本やネット情報はいろいろあると思う。

2014年8月9日土曜日

PPTマクロ(6)

PPTマクロ(6)、PPTマクロでつくったもの2
PPTマクロ(5)、PPTマクロでつくったもの1
PPTマクロ(4)、マクロで四角形や楕円などを描く
PPTマクロ(3)、マクロで直線を描く
PPTマクロ(2)、マクロを有効化する
PPTマクロ(1)、マクロ作成の動機

PPTマクロ(6)、PPTマクロで作ったもの2


 マジカルアイという本が本屋に並んでいる。目の焦点をページに書かれている絵の奥もしくは手前に合わせると絵が立体的に見える。本の各ページには左右に同じような絵が書かれている。絵の手前もしくは奥に自分の目の焦点を合わせると二つあるはずの絵が三つにみえる。そして、真ん中の絵が立体的に見える。

  次の絵を自分の目の焦点を絵の奥に合わせたり、絵の手前に合わせたすると立体的に見える。 目の焦点を手前に合わせると青い円は手前に、赤い丸は奥に見える。奥で合わせると赤い丸は手前に青い円は奥に見える。この技術は、一般的になんと呼ばれているか知らない。ここでは、マジカルアイ技術と呼ぶことにする。


 次の図は、PPTマクロで作成した3次元の幾何学模様で、マジカルアイ技術を使っている。目の焦点を奥に合わせたり、手前に合わせたりすると立体的に見える。今回の場合は目の奥側にあわせるこを前提として書いている。




 3次元図形を2次元で表現する方法は、奥行き方法に対する色変更、もしくは複数の回転図形表示がある。マジカルアイ技術も立派な3次元の表示技術である。回転表示とマジカルアイ表現と組み合わせるとパーフェクトと思う。
 
 画家は、並外れた動体視力や細密技術を持っている。マジカルアイ技術を駆使する画家がいてもおかしくないと思っていた。上図のように3次元の幾何学模様をマジカルアイ表示してみて、 これは手書きでは不可能である。まさにPPTマクロの出番であると感じた。

  一般に販売されているマジカルアイの本は視力をよくしますよという謳い文句である。マジカルアイの本を数冊買って、近眼を治そうと思って一時期、頻繁に見ていた。近眼が矯正されることはなかったが、立体的にみる能力が確実にあがった。散歩をしていても木も山も建物までも、いままでと違って、より立体的に見えて感動した。  多分それまでは、両目あっても片方の目でしか見ていなかった。そして今は両目で均等にしっかりみているのであろう。

 このマジカルアイ技術は、複雑な結晶構造や蛋白質構造、DNA構造など、その複雑な構造の理解を容易にするのに有効であると思う。いずれ理科系の教科書や専門書でマジカルアイ技術が使われる日がくると信じている。

2014年8月4日月曜日

PPTマクロ(5)

PPTマクロ(6)、PPTマクロでつくったもの2
PPTマクロ(5)、PPTマクロでつくったもの1
PPTマクロ(4)、マクロで四角形や楕円などを描く
PPTマクロ(3)、マクロで直線を描く
PPTマクロ(2)、マクロを有効化する
PPTマクロ(1)、マクロ作成の動機

PPTマクロ(5)、PPTマクロで作ったもの1


 PPTのマクロを使って何をするのか。これが一番重要かもしれない。PPTのマクロは単なる道具である。
 このブログにのせている幾何学模様は、直線を引く機能を使う。また R = f(θ) :X = Rcosθ、Y= Rsinθ を使う。 角度θを与えると、Rの計算値が出る。角度0度の時のRと角度1度の時のRを直線で繋ぐ。次に角度2度の時のRを計算し、角度1度の時のRと繋ぐ。このように角度を1度づつ増やして、繋げていく。
 f(θ)はsin、cosを適当に組み合わせて作る。θの前にも適当に係数をつける。

 数学の勉強は、与えられた問題を解く、既に解かれた問題を理解することに終始してきた。が、この幾何学模様は数学の問題を自分で作り自分で解くという楽しさがあった。問題はあまりにたいしたことないが、それでも楽しさがあった。私の場合、f(θ)を適当に作ったとき、その模様がどのようになるか考えず、予想もせずプログラムを走らした。そして描かれた図形を見て、へぇ~こんなになるのかと感心した。 デザイナーには、いろんなインスピレーションを与えるだろうなと思った。
 
 そして、数学は、解くことを教えるだけではなく、問題を作ることも教えたらどうか とも思った。2次方程式の解法を学んだら、3次方程式の解法は?、4次方程式の解法は? など。また、平方根の出し方を学んだら立方根の出し方は? などもある。でも問題を作ることを教えたら、生徒の質問に先生は簡単に答えることができない。下手をすれば、生徒が世の中でも解けていない問題を解くことに嵌(はま)り、人生を棒に振るかもしれない。 
 
 それでも、問題を作ることを教えるべきだと思う。そうすれば、勉強方法、考え方が変わり、見える世界が変わる。そして、人生が変わると思った。数学の問題を作ることから、発展し、数学以外の分野で、それぞれの人が些細な問題から、大きな問題まで、自分で問題を作り、自分で解いていく。 受け身の人生ではなく、能動的な人生に変わる。人に与えられた問題を解くのではなく、自分で問題を作って解いていく。織田信長は天下統一という大きな問題を作り、その問題を解くことに邁進した。

 幾何学模様に話を戻す。いろんな幾何学模様を書いていると、最初はマニュアル操作が多かったが、だんだんこれはプログラム化できる、ここもプログラム化できるという風にプログラムの行数が増えていった。最初は、設定した枠内に収まる幾何学模様に限定していたが、枠をはみ出る関数も扱うようになった。このときは、たくさんのバグがでた。


いままで描いてきた幾何学模様
(18)(17)(16)(15)(14)(13)(12)(11)(10)(9)(8)(7)(6)(5)(4)(3)(2)(1)
 
 θの係数を少しづつ変化させると、たくさんの図形ができる。できた図形を動画にして、Youtubeに載せてみた。





 幾何学模様は、今まで R = f(θ) を扱ってきたが、最も一般的な  Y = f(X) がある。
X=f(u)、 Y = g(u) で表わす図形もある。 famous curves といって、歴史的な数学の巨人が検討した幾何学模様もある。 これらの書かれた図形をある種の変換をして、全くの別の幾何学模様にしてしまう方法もある。famous curves を勉強するのも楽しいかもしれないが、私としては、気ままに関数を勝手に作って、楽しんでいく方法を選ぶ。 3次元の幾何学模様も考えられる。3次元となるとどう表現するかも課題である。

 何事も最初の取っ掛かりが、難しい。最初の取っ掛かりがうまくいけば、あとは何とかなるというのがPPTマクロを作った感想である。ということで最初の直線や丸、四角を描くところまでは丁寧に書いたが、作ったものの説明は大幅に省略した。私自身、コマンドやコマンドの使用法が分からなくなるとPPTマクロ(2)であげたマニュアルを見る、もしくは、関連する単語を並べて、インターネットで検索して答えを見つけてきた。最初の山を越えると本なり、マニュアルなり、インターネットなりで調べて答えを見つけることができる。最初は、本当に何をどうしたらよいか、わからない。誰に聞けばよいのか、インターネットにどう聞けばよいか、インターネットに聞けばよいということすらわからない。わかってしまえばどうってことないことでも、最初はわからないから不思議である。

2014年8月1日金曜日

地球温暖化メカニズム考察(11)

地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2
地球温暖化メカニズム考察(11)、先カンブリア時代の気候変動3

地球温暖化メカニズム考察(11)、先カンブリア時代の気候変動3


先カンブリア時代(5億4千万年以前)のおさらい
  1. 大気中のCO2分子とH2O分子は、 太陽光に対して共振する。 共振したギターの弦に音がこもるように地球の大気に熱がこもる。 このため、 大気中のCO2分子とH2O分子の量が、 地球の温度を決める。
    今までに述べてきたように大気中のCO2が増え始めると大気中にH2OとCO2が更に増え、 地球の温度を益々上げる。 大気中のCO2分子が減り始めると大気中のCO2分子とH2O分子が更に減り、 地球の温度を益々下げる。 このため、 生物の影が薄い先カンブリア時代には、 何度か地球全体が凍ったり、 逆に地球全体が超温暖化状態になったりした。 地球全体が凍る現象は全球凍結と言われている。

  2. 大陸は離散・集合を繰り返す(下図参照)。 現在の地球は、 5大陸に別れているが、 2.5億年前にはパンゲアと呼ばれる超大陸があった。 その前は、いくつかの大陸に別れていた。 その前は、 コンドワナと呼ばれる超大陸があった。 そして、その前も・・・・。
    大陸が分裂するときは大気中のCO2分子が海に吸収される傾向にあり、 大陸が集合するときは、 CO2分子が大気中に放出される傾向にある。 大気中のCO2の増減が、 ある時は全球凍結の引き金となり、 ある時は超温暖化の引き金になった。 又、 ある時には全球凍結からの脱出の役割を果たし、 ある時には超温暖化からの脱出の役割を果たした。 更に地球温度の安定化の役割を果たすときもあった。

    地球の離散や集合サイクルは数億年である。 地球の温度が大きく変わる期間は、 それよりは短い。 例えば全球凍結が継続した期間は数千万年と言われている。

  3. 太古の地球の大気には、 多量のCO2分子があった。 大陸には多量の単体金属が存在した。 大陸が離散集合を繰り返す間、 多くの金属イオンが海水中で炭酸イオン(HCO3-)と結合して炭酸塩岩となった。 海水中の炭酸イオンの消費は、 大気中から海中へのCO2の溶融を引き起こし、 CO2の大量消費つながる。 大気中のCO2分子の大量消滅は、 当然ながら全球凍結の大きな原因であり、 超温暖化からの脱出をも可能にした。

    CO2の消費はこれだけではない。
    38億年前に原始的な原核細胞と呼ばれる原始的な細胞をもつ原核生物が誕生した。 やがて光合成を行う原核生物である藍藻が現れた。 この藍藻による光合成活動で大気中のCO2が消費されO2が発生した。 このO2は先ずFeの酸化に使われた。 このとき地球上のFeほぼ全部を酸化したと言われている。 Feの酸化が終わったあと大気中にO2が増えていった。 この藍藻の光合成活動は、 超温暖化からの脱出にも寄与したと推定される。

    先カンブリアの時代、 原生代(40億年~5億4千万年)の初期に誕生した原核生物(単細胞)は、 真核生物(単細胞)に進化し、 さらに多細胞生物に進化していった。 30億年以上かけて、 自然は、現代科学が解明しきれていないほど複雑で高機能な生物の基礎となる細胞を作り上げていった。
    又、 原核細胞である光合成藍藻によって、 地球の大気に、 生物にとって重要なO2分子が大気中に供給された。 そしてカンブリア爆発と呼ばれる生物の大爆発が起きる。

こうして、 先カンブリア時代の出来事を要約してみると、 にわかに信じがたいことの連続である。 ここに述べたことは、 昔からわかっていることではなく、 ここ20~30年の間の研究で明らかになったことが多い。

 寒冷化は更なる寒冷化を呼ぶ、 温暖化は更なる温暖化を呼ぶ。 このサイクルは正のフィードバックと呼ばれている。 全球凍結や超温暖化は、 正のフィードバックの結果であり、 気候は本質的に不安定な要素を持っているという確証である。
多くの地学や気象・気候の本で、 この正のフィードバックが記述されている。 が、 記述されていない専門書もあり、 まだ十分に認識されているとは言い難い。 これは正のフィードバックの研究がまだ不十分なせいでもある。 国際機関である気候変動に関する政府間パネルIPCCもやっと最近になってやっと、この正のフィードバックに関する言及が増え始めた。

 現在の地球温暖化は過去に例のない猛烈なスピードで進んでいる。 既に猛暑、異常気象と言う形で生命を奪う災害を引き起こしており、 食料生産にも影響を及ぼしている。 温暖化防止の観点からも、温暖化を促進する正のフィードバックおよび温暖化を抑制する負のフィードバックをもっと研究・熟知する必要がある。 そして、 具体的で有効な温暖化抑制策を抽出し、 さらに周知することによって、やっと温暖化抑制策が確実に実行され、 機能すると考えられる。

 先カンブリア時代は、生物の影が薄い時代である。 しかし、光合成を行う原始的な原核細胞の藍藻が、地球上ほぼ全部のFeを酸化し、大気中に酸素を増やしていった。 生物の力、恐るべしである。 この生物、 原核細胞が進化し、 多細胞生物となり、生物の大爆発が起きた。 大爆発した生物は、一体どのように地球の気候に影響を与えたのであろうか。

 次回以降は、 生物が顕著になった顕生代について述べる。 顕生代は、生物の大爆発が起きたカンブリア紀から現在までをさす(5億4千万年前から現在)。

(参考資料)
・凍った地球 田近栄一著 新潮選書
・地球惑星科学2 地球システム科学 岩波書店
・地球惑星科学3 地球環境論 岩波書店
・地球惑星科学11 気候変動論 岩波書店
・地球学入門 酒井治孝著 東海大学出版会
・地球のしくみ 新星出版社
・最新地球史がよくわかる本 川上紳一・東條文治著 秀和システム