2012年11月17日土曜日

地球温暖化メカニズム考察(6)


地球温暖化メカニズム考察(1)、地球温暖化は、現代科学が不得手とするもののひとつ
地球温暖化メカニズム考察(2)、地球温暖化懐疑論者の大きなまともな疑問
地球温暖化メカニズム考察(3)、地球温暖化は、平衡論では説明できない<
地球温暖化メカニズム考察(4)、地球温暖化は、ポジティブ・フィードバックのオンパレード
地球温暖化メカニズム考察(5)、植物の光合成がなければ、地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(6)、現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走
地球温暖化メカニズム考察(7)、地球には氷河期があった。寒冷化メカニズムは?>
地球温暖化メカニズム考察(8)、46億年地球史概略
地球温暖化メカニズム考察(9)、先カンブリア時代の気候変動
地球温暖化メカニズム考察(10)、先カンブリア時代の気候変動2

地球温暖化メカニズム考察(6)
  -現代社会は、植物をも減少させている。このままでは地球は熱暴走


 前回、大気中にCO2が排出されると、CO2とH2Oが協調して、温暖化が加速されることを示した。下図でもう一度、要約する。温暖化は、悪循環(正のフィードバック)のオンパレードである。

 しかし、上図は植物が無い場合である。植物は、CO2を吸収するから、温度上昇を抑える。

 CO2が増え、温度があがると植物が増えるというのは、誰でも直感的にうなずけるであろう。夏になれば、木々は生い茂る。地球全体を見渡しても、赤道に近づくほど緑が豊かである。CO2増大も緑による光合成にとって好都合である。植物が増えると、植物によるCO2吸収が増える。大気中のCO2が減り、温度は下がっていく。つまり温度が安定化する。もし、温度が下がり過ぎれば、植物が枯れ、枯れて腐った植物からはCO2がでる。これも温度を安定化させる方向に働く。もし、大気中のCO2の増大が、ゆっくりしていて、人間の植物への干渉が少なければ、地球の温度は安定化に向かうはずである。

 大気中にCO2が増大し続ける今、地球上の植物はどうなっているであろうか。
上記のように、人間の経済活動は、植物を減少させている。
 古代文明は、森林破壊が原因、遠因で滅んだといわれている。(エネルギー需要→ 森林破壊 = 水源林破壊 → 雨が降れば大洪水、降らねば渇水 → 田畑の荒廃 → 食料不足 ) 更に、古代文明は滅んで、植物が蘇らない砂漠を残した。
 現在も、かなりの勢いで森林が破壊されている。特にひどいのはブラジルとインドネシア・マレーシアの熱帯雨林である。
 ブラジル・アマゾンには、1970年には 4,100,000 km2の熱帯雨林があったが、2005年には、3,403,000 km2まで減少した。日本国土面積が370,000km2であるから、日本国土の約2倍の森林が減ったことになる。35年の間に地球の肺臓と呼ばれるアマゾンの熱帯雨林が 27% も失われた。牧場開発が最も大きな森林減少理由である。
 インドネシアとマレーシアでは、2000年から2010年の10年間に 110,000km2 の森林が消えた。農園転換が最大理由である。
 日本のコンクリート行政は、ダムを作り、護岸と称し、海外線をコンクリートで固めてきた。これは生態系を壊す。
 自然本来の営みによれば、山の栄養が植物プランクトン産み、さらに、植物プランクトンが動物プランクトンを産み、小魚がこれらを餌とする。海岸線には藻が育ち、多くの海洋生物を養う。植物プランクトンや藻は、魚の餌になるだけではない、CO2を吸収する。
 ダムや護岸工事はこういった生態系を壊す。日本の海岸線から藻場が年々消えてきている。アジア大陸の沿岸では、養殖が急増したことから、藻場が急減しているといわれている。

 温暖化の影響で、CO2吸収源である珊瑚も減少している。過去40年間で珊瑚礁の1/3が消滅、世界全体で約3,000 km2の広さで珊瑚が消えた。
 北米の寒冷地帯に生える松は、立ち枯れを起こしている。これは、温暖化により、冬に松くい虫が死ななくなったためだといわれている。

  植物が減って、CO2吸収が減っているだけではない。
 温暖化により、大規模な山火事が増え、また、世界の泥炭地から多量なCO2がでている。

 NGO「国際湿地保全連合」(本部オランダ)によると2008年泥炭地からのCO2排出は約13億トンで、1990年比で20%増加。泥炭地上の森林火災を含めると年間20億トン程度になる。インドネシアの泥炭地からの排出量が最も多く、約5億トン。アブラヤシの農地開発などのために泥炭地を乾燥させたことにより、排出量が増えたとみられている。
 CO2を吸収すべき植物が、CO2を放出する側にまわっている。

 CO2排出削減が、叫ばれているが、現実は増え続けている。CO2吸収する植物が減り、逆に>CO2を放出し始めている。温度を安定化させるはずの植物が、温度を上昇させる側に回ろうとしている。温暖化の悪循環要素が増え、温暖化抑制が減っている。

 このままでは、熱暴走する可能性すらあり、非常に危険な状態と言わざるを得ない。

 アース・ポリシー研究所のレスター・ブラウン所長は、このままでは、現代文明は、古代文明が滅んだように滅ぶと危惧して、著作活動を続けるとともに世界中を飛び回って警告を発している。
 古代文明は、森林破壊が、田畑の崩壊を招き、食料不足に陥り、滅んだ。
 国際協力で推進されている温暖化検討機関でも、このまま温暖化がすすめば、水不足、食料不足になると警告している。

 温暖化は悪循環のオンパレードで、温暖化を抑制する要因が少ないとなれば、国際的な検討機関の警告以上に温暖化がすすみ、ブラウン所長が心配する通り人類文明が滅びかねない。

 下図のような更なる植物の減少や植物によるCO2放出も心配されている。

 ここまでくれば、地球上全生物の生存に危機が迫っているといえる。

 次回以降、数回にわたって過去の地球の気候を考える。

 (つづく)

0 件のコメント:

コメントを投稿