2021年10月2日土曜日

気象気候あれこれーコリオリの力4

 コリオリの力は、台風や竜巻の左巻きの渦(北半球の場合)の原因として説明されています。台風や竜巻は地球の表面に平行して動く大気に対してコリオリの力が働き、渦となったものです。この地表に対して平行に動く大気に対するコリオリの力は、赤道上ではゼロで南極や北極の極地で最大となります。

 コリオリの力が働くのは、地球の表面に平行に動く大気や海流のみではありません。垂直方向に動く大気や海流にもコリオリの力が働きます。この場合は、赤道で最も大きく、極地ではゼロとなります。

 この地球の表面に対して垂直に動く大気や海流に対するコリオリの力は何故か全くといっていいほど聞くことがありません。

 ここでは、この垂直方向に動きに対するコリオリの力が表れているだろうと思われる例を示します。もちろん、赤道直下です。
 上昇気流に対しては、下図に示すように東から西へ押し付けるようなコリオリ力が生じます。下降気流に対しては、西から東へ押し付ける力が働きます。コリオリの力を受けた下降気流や雨は、海面を西から東へ動かすように叩きつけます。これは西から東へ流れる海流を引き起こします。


 赤道直下の海流は、一般的な教科書にどう書かれているでしょう。

 風は高気圧帯(中緯度高圧帯)から低気圧帯(熱帯収束帯))へ地表もしくは海面に平行に風が流れます。この流れに対してコリオリの力が働き、北半球も南半球も東から西へ向かう風(貿易風)になります。



出典:大気循環    

下図は風の流れ(赤い矢印)と海流(濃い青の矢印)を示しています。海流は風の流れにお影響をうけます。この図によりますと、赤道付近では、北半球も南半球も東から西へ向かって流れています。



教科書的な説明書には、赤道上で図1のような流れは書かれていません。

詳しい海流図を見てみます。



すると上図のように太平洋、インド洋、大西洋のいずれに西から東へ流れる赤道反流(Equitorial Counter)が書かれています。

この赤道反流が、図1に示した上下方向に動く大気に対して働くコリオリの力によると考えられます。

北赤道流(N.Equitorial)及び、南赤道(S.Equitorial)はいわゆる貿易風によるものです。
これも太平洋、インド洋、大西洋のいずれにも存在しています。

太平洋では、東の海水温が高くなるエル・ニーニョ現象、西の海水温が高くなるラ・ニーニョ現象が知られています。

インド洋では、東の海水温が高くなる負のダイポール現象、西の海水温が高くなる正のダイポール現象が知られています。

大西洋にも同じような現象があってもおかしくないと思われますが、今のところそのような話はありません。今後、類似の現象があるかどうか、なければ何故ないのか等が判明するのではないかと期待しています。

ここでは赤道反流は、コリオリの力によるものと説明しましたが、定説になっているわけではありません。

Wikipediaでは貿易風により西の海面が東の海面より高くなり、そのため赤道反流が起こると説明されています。しかし、そうだとすると貿易風が強いと赤道流も赤道反流も強くなり、エルニーニョ、ラニーニョ現象がうまく説明できません。

今回の”赤道反流はコリオリの力”説では、貿易風が弱まれば、赤道反流が大きくなり、太平洋のエルニーニョ・ラニーニャ振動、インド洋ダイポール振動の説明につながると思われます。

地表や海表面に平行に働くコリオリの力は、あまりにも有名ですが、地表や海表面に垂直に動く大気に対するコリオリの力は皆さん忘れていませんか、と言いたいです。


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