2016年7月1日金曜日

健康(11)– 肺に腫瘍・癌病棟

健康(11)– 肺に腫瘍・癌病棟


検査入院 禁煙 の続き


 約束の1ヶ月後病院へ行った。禁煙は約束の半分しかできていない。特に確認されなかったので、何も言っていない。すぐに入院することになった。入院したところは、6人の大部屋であり、直接的に間接的に聞いて、周りの人は全員癌であることがわかった。みんな大部屋にいることを喜んでいた。もし個室であればふさぎ込むであろうが、大部屋では、お互いに情報交換もできる。同じ悩みを話していれば、気は紛れるし、元気づけられもする。でもこの部屋にいる人は手術で助かる可能性を持っている人たちである。3階には手術できない癌患者ばかりで雰囲気が暗いという。周りの人は入院後1~2日後手術が行われるのに私は2週間近く待たされた。検査で禁煙期間がわかるのかな? 喘息持ちの手術は危険で私の体調を見計らっていたようでもあった。

   肺癌手術でも手術が終われば普通に食事をし、そして次の日からは歩かされる。しかし、体には管が入ったままで、背中には器具を背負わされている。 

 手術の日が近づき毎日種々の検査が行われたが、垣間見える検査結果から私は癌では無いと思った。手術の前日、麻酔医の方がこられて私の体を触診された。私の体は麻酔医泣かせで麻酔注射を打つ場所がわかりにくいとのことであった。麻酔は背中に注射される。以前の盲腸の時も背中に注射された。あの時、私には麻酔があまり効いていなかった。多分注射が少しはずれたのだろう。

   手術の前日、担当医から妻と娘同席で手術内容について話があった。手術で真ん中の太い気管が傷つくと即死になりますが、そんなことが起きないように手術します。と切り出された。おいおいそこから始まるのか。腫瘍がある左の肺は上下二つに分かれています。ちなみに右肺は三つに分かれています。腫瘍は左上の肺の下方にあります。腫瘍部分を切リ取って直ぐに癌かどうか検査します。腫瘍が癌で下の肺にまで達していたら、左の肺全部を摘出します。そうでなかったら肺の上部を取ります。喘息を持っているので喘息の発作が起きたら危険です。腫瘍が良性であっても取り除きます。
 
 私の直前に手術された方は、手術室からすぐ帰ってこられた。聞けば既に手遅れだったとのこと。動揺しておられるふうもなく、いつものように淡々と何事もなかったように雑談されたのには驚かされた。

 しばらくして、私の番になった。手術台に乗せられて大部屋を出て行くときの自分を覚えている。20年前の手術ではとにかく痛くて早く切ってくれとの一心だった。痛くて朦朧として手術台に乗せられたことも記憶にない。今回はどこにも異常が感じられない。2週間近くの病院で日頃の疲れはとれている。禁煙も1ヶ月になる。喘息の気配もない。体はぴんぴんしている。それだけに不安が忍び寄る。危険かもしれないところに敢えて突き進む高揚感のようなものもあった。手術室に着くと直ぐに麻酔を打たれて数を数得るように言われた。五つも数えないうちに意識をなくした。

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