2014年3月11日火曜日

能力開発(3)英語力 

能力開発(3)英語力


 英語はたくさん勉強しているはずなのに、英語ができない。中学、高校と勉強の半分近く英語に使った。大学では、専門書として英語の本を紹介され、それもある程度は読んだ。英語の論文も読んだ。でも英語はさっぱりである。英語をネイティブにする国の5歳児にも及ばない。開発途上国の、それもかなり遅れている開発途上国の子供がマイクを向けられて英語でどうどうと受け答えしている。私は、あんなに答えることはできない。

 小澤征爾さんは、パーティや会合にほとんど出席しなかったと日経新聞の私の経歴書で書いておられた。理由は言葉ができなかったとのこと。え~っと彼ほどの国際人がと信じられない。ずっと前になるが布施明さんがオリヴィア・ハッセーとの離婚理由を聞かれたとき、言葉が・・と顔が曇った。  私だけではない、日本人は英語が下手である。泣けてくるほど下手である。多分、本人が思っている以上に下手である。

 一方、日本人は日本に来た外国人が短期で日本語をしゃべるのを聞いて驚く。誰もが日本語が上手な欧州人、アジア人、アメリカ人の名前をすぐに言うことができる。日頃馴染みのない国の外国人も日本語がうまい。ボビー・オロゴン(ナイジェリア人)は日本語でギャグる。 にしゃんた(スリランカ人)は、川柳クイズで日本人と対等に渡り合う。ゾマホン(ベナン人)は早口でしゃべくりまくる。

 何故このように彼我の差があるのか、次の話を聞いて、なるほどと、英語にまつわるいろんな疑問が解ける。

「英語の周波数帯域は非常に広いのに対して、日本語の周波数帯域は非常に狭い。日本人の場合、幼少期に、日本語の周波数帯をはみ出した音をノイズとして認識し、高周波領域を除外するように脳が出来上がってしまう。英語が持っている高周波領域は、日本人の脳はノイズとして受け付けない。」

 日本人の英語で最大の問題は英語が聞き取れないことにある。どの国の人も自国語の新しい言葉はまず耳で覚える。生まれたときからほとんどの言葉は耳で覚える。

 会社で同じ部署にいた中国人は、日本語はほとんど聞き取れると言っていた。テレビのウルルン滞在記という番組では、タレントが世界中にでかけて現地の家族に入り込んで一緒に生活をしていた。タレントが言う日本語はすぐに真似られていたが、その逆はなかった。日本語は非常に聞き取りやすい言語である。これが外国人が短時間で日本語がうまくなる理由である。

 琴欧洲にアナウンサーが、どうして日本語がうまくなったのかと聞いたら、赤ん坊と一緒と答えた。外国人は、全く日本語を知らなくても日本に来たら赤ん坊のように日本語を聞いて覚える。しかし、成人になった日本人が外国に行っても赤ん坊になれない、赤ん坊以下である。赤ん坊なら英語の高周波成分は聞き取れるが、日本で育った成人の耳は英語の高周波成分を拒絶する。

 若い人が他国に比べて、外国にでかけていかないというのもうなずける。言葉が聞き取れないから、腰がひける。
 日本人にとって、英語のヒアリングはたくさんのノイズを聞かされるのと同じなので、聞き取れない以外に快適ではない、むしろ不快である。不快であるから、英語を聞かない。英単語の覚えも悪い。勉強も遠ざかるなど、悪循環である。英語はあれほど勉強したといいながら、実は本人が思っているほど勉強していない上に、勉強が不効率となって、英語離れを起こしている。


 日本人が英語をうまくなるためには、英語に対して、まず耳を作るべきであろう。つまり英語を聞き取る訓練が最優先されなければならない。
 この耳の問題があるので、何歳から英語を習うべきかという問いに対する答えは、かなり難しい。いろんな分野の人が協力しなければ、答えがでない研究分野であろう。

 個人的には、小学生の時は、しっかり日本語を勉強し、英語は中学からでよいと思っている。但し、教える方も教わる方も、英語は日本語にない高周波数を含んでおり、その高周波を聞きとる必要があることを認識して、まずはヒアリングを重視した教え方、習い方をすべきであろう。

 いまでは、英語のヒアリングはPCやスマホなどいろんな機器を通して簡単にできる。 一番良いと思うのは英語の字幕が流れる英語の映画やTV番組を見ることである。何度も見聞きすることにより自分が聞き取れない言葉を把握し、その言葉を聞き取れるようにする訓練が良いと思う。


 日本人は英語に堪能になり、世界に向けて英語でどんどん意見や考えを発信する必要がある。そうしないと、スポーツの世界で日本人に不利になるようにどんどんルールが変えられていったが、そのようなことが、いろんな分野で起こりうる。

 もし英語が聞き取れる教育や訓練が行なわれれば、日本人は勤勉だから、人口の半分以上の日本人が英語に堪能になれる。周りにいる普通のおじちゃんやおばちゃんまでも英語がうまくしゃべれる。そうなれば、日本人の国際的地位は確実に上昇する。ビジネスチャンスも広がる。

(次回の能力開発、英語力続編です。)

2014年3月1日土曜日

能力開発(2) 繰り返す力

能力開発(2) 繰り返す力


 小学校から大学まで、どんなクラスにも、努力していそうにないのに、必ずできるやつがいる。勉強でも運動でも。社会に出ても余り状況は変わらない。このため、多くの人が自分には能力がないと劣等感に悩まされる。私も、なんであいつは知っているのだ、わかっているのだ、どうしてそんなことができるのか、それに反して自分は・・、とそんな思いがいつも心のどこかに・・・。

 40才代に喘息になった。喘息はつらい。吸いたい息が吸えない。直りたい一心で散歩と柔軟体操を始めた。喘息でつらい思いをした分、気づけば20年近く続けている。体調はずいぶんよくなった。あれだけ堅かった身体も、他人からみれば相変わらず堅いけれども、ずいぶん柔らかくなった。続けることは素晴らしい。それから繰り返す力に興味を持った。

 息子に繰り返す力は重要であると言ったら、知っているという。誰かがストイコビッチにどうしたらサッカーがうまくなれるかと聞いたそうだ。そうするとストイコビッチは、Repeat, repeat and repeat と答えたそうだ。ストイコビッチは、ユーゴスラビアの元サッカー代表選手で現役のとき、テクニックの華麗さで世界をうならせ、名古屋グランパスの監督を務めた人である。
野球の神様といわれた川上哲治さんは、巨人の監督をやめられたあと、少年野球の指導でいつも子供たちに繰り返しの重要性を説かれていたと聞いた。

 スポーツ選手や職人をみていれば、ストイコビッチや川上元監督の話がよくわかる。信じられないレベルに達しているのをテレビで日常的に目のあたりにする。
 もし繰り返す力の効果を子供の時に知っていれば、子供の時でなくとももっと早く知っていたら、と思う。

 そういえば、人はS字S字で成長すると何度か聞いた(下図)。繰り返すことによって必ず上達するといっても最初はなかなか成長しない。しかし、その次には成長するときがくる。そのあとは、努力しても停滞してしまう。それでも次のS字が待っている。  職業の場合、種々の理由で最初のS字を書く前に、今の職業を止めなければならないこともある(図の①)。運動選手の場合、見事にS字を書いたとしても、次の新たなS字を始めなければならないことが多い。第2の人生というやつである(図中の②)。


 もし繰り返す力の重要性と効果を知っていれば、第二、第三の人生が甘くないとことと同時に頑張れば、成功するという信念を持てるのではなかろうか。

 繰り返すことの重要さは、あらゆる世代で強く認識されるべきであると思う。 小学生には、繰り返せば必ず上手になるし、勉強もできるようになることを確実に教える。興味の持てるものを見つけさせ、もしくは、親や教師が何か興味の持てそうなものを与え、繰り返しの効果を体験させれば、それがその子の大きな宝となるはずである。大事なのは、その子の達成した成果と同時に、繰り返しは重要なのだなと思わせることであろう。

 定年退職をして、趣味でⅩⅩを始めたが、自分には才能がないというのを何度か聞いた。才能の有無ではなく、好きか、そうでないかということでないですかと答えることにしている。好きであれば、繰り返すし、そして、いつかはきっと上手になる。
 数年前から、卓球をしている。ここでも先生が、繰り返しは重要です、繰り返さないとうまくなりませんと言われる。考えながら繰り返しなさいとも言われる。自分はずいぶんう上手になっていると思うが、同じような年代の周りの人も同じように上達している。このような年でも繰り返せば、うまくなるものだと感心している。

 もし、繰り返す力が頭脳の基礎能力である記憶力、計算力、理解力などに適用されたら、どうであろう。S字を一からやり直すこともない、これこそS字S字の積み重ねではないか。多分、頭脳は訓練すれば、体力程は衰えないのではないか、逆に通説を上回って成長するのではないか思う。今からでも遅くない、頭脳の基礎能力を向上させていこうと考えている。
(能力開発 次回は英語力)