気象気候あれこれ2 – コリオリの力1
回転している球体があり、その球体上で動いている物体には”コリオリの力”と呼ばれる力が働く。
地球は自転している。この自転のため、地球上で動いているものに対して、コリオリの力が加わる。地球が回転している角速度をωとする。 質量 m の物質が 速度 v で動いているとするとその物質に次図の式で表わされるコリオリの力 F が働く。
このコリオリの力のため、北半球では左巻きの台風や竜巻が起き、南半球では右巻きの台風や竜巻がおきる。貿易風や偏西風もこのコリオリの力が影響する。
海流には、表層流と深層流があるが、表層流は風に押し流されておきる。地球上の風や海流の流れを理解するうえでコリオリの力がどのように働くか知る必要がある。このコリオリの力は日々の気象にも影響を与える。更に、年間を平均して、その推移を問題とする気候変動にもコリオリの力は影響している。コリオリの力は気象予報士のお兄さんやお姉さんはにとって重要不可欠な知識でもある。
天気図に示される風の向きは、地表に沿って流れる風を示している。次図で地表に沿って流れる風に働くコリオリの力を考える。まず角速度ベクトルωを地表に平行な成分と垂直な成分に分ける。地表に平行に走る風には、角速度ベクトルの垂直成分のみが有効に働く。
次図で、低気圧に働くコリオリの力を考える。低気圧があった場合、風は低気圧の中心に向かって流れる。つまり、低気圧の中心に向かう力が働いている。この力とコリオリの力を足したもの(ベクトルの足し算)が実際に風に働く力である。
角速度ωの垂直成分が、北半球では上空方向に向いているのに対し、南半球では地球の中心に向いている。このため、北半球では、低気圧の中心より右側に向けて力が働くのに対して、南半球では低気圧の中心より左側に向けて力が働く。このコリオリの力の向きが逆になることから北半球では台風や竜巻が左巻きになるのに対して南半球では右巻きになる。
地表に平行に動く風に対して働くコリオリの力は、北極南極で最大となり、赤道直下ではゼロとなる。コリオリの力がゼロとなる赤道直下では台風や竜巻が起きない。
台風や竜巻のみならず普通の低気圧に対しても風の流れは、北半球では左回りで、南半球では右回りになる。高気圧がある場合、風の流れは北半球では右回り、南半球では左回りとなる。
上昇気流や下降気流に対しては、角速度ωの水平成分がコリオリの力を引き起こす。この水平成分は北半球も南半球も北側を向いている。
このため上昇気流は北半球南半球ともに西側に寄り、下降気流は東側による。
上昇気流や下降気流に働くコリオリの力のため、台風が右巻きになったり、左巻きになったりするよう、なにかが起きるとか聞いたことがない。風が水平移動する距離に対して、風の上下する距離が少なく、そのために東西にずれる距離が少なく、特に問題とならないと考えられる。
赤道直下では、水平に動く風に対してコリオリの力はゼロになる。コリオリの力がゼロになるため赤道直下で台風や竜巻がおきないと言ってもよさそうである。 しかし、何故かと云う問いに対する答えは簡単ではなさそうである。この問題は別途考えていきたい。
次は、コリオリの力 起因の貿易風や偏西風について考えていきたい。
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